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人間工学的な椅子や机、マウスの導入は、仕事に関連する腕・首・肩の不調を短期的に改善するとは限らないことが、更新されたレビューで報告されました。20件の研究、計2,478人を対象にした分析では、痛みや機能、回復、休業への効果は、介入をしない場合や通常のケアと比べて小さいか、ほとんどない可能性があります。

20件の研究で見られた短期的な効果

レビューでは、仕事に関連する腕・首・肩の訴えがある成人を対象にした20件の研究がまとめられ、参加者は合計2,478人でした。内訳は、首・肩・手などの一般的な痛みを扱う研究が16件、手根管症候群や腱板炎など特定の症状を扱う研究が4件です。対象にはコンピューターや事務職の従業員のほか、工場、縫製、食肉処理に携わる人も含まれました。

介入を受けない場合、通常のケア、または偽介入と比べると、人間工学的な調整は短期的な痛みをほとんど変えない可能性があります。身体機能や回復、休業への効果も小さいか、ほとんどないという結果でした。生活の質や医療利用が改善する可能性はありますが、医療利用の結果は測定方法によって一貫していません。

調査対象の介入には、椅子や机の調整、座位と立位を切り替える机、マウスやキーボードの変更、姿勢に関する教育が含まれます。こうした対策は職場で広く取り入れられていますが、単独で短期的な痛みや休業を減らす効果を裏付ける根拠は限られています。

CANSに含まれる症状と調整の狙い

CANSは、仕事に関連する腕・首・肩の訴えを指す呼称です。急な外傷や全身性の病気によらない筋骨格系の症状で、痛みのほか、しびれや異常な感覚を伴うことがあります。コンピューターのマウス操作に関連する手首の手根管症候群や、繰り返しの持ち上げ動作に関連する肩の腱板損傷も例に挙げられています。

同じ姿勢を長く続けること、反復動作、振動する工具などによる外部からの力が、CANSに関係する負荷として説明されています。人間工学的な調整には、作業台の高さや配置、コンピューター機器や椅子の変更、動作や姿勢への意識を促す教育が含まれます。これらは作業者に合わせて設備や環境を整え、筋骨格系への負担を減らすことを狙います。

CANSの症状がある人に、肩甲骨の静的な位置ずれが必ず見られるわけではありません。コンピューターを使う従業員109人を調べた研究では、症状のある人とない人で肩甲骨の位置ずれに差は見られませんでした。一方、症状のある人では、仕事や日常生活への機能的な影響に差がありました。この研究では、不適切な姿勢や仕事上の裁量の低さがCANSの発生に関係する可能性も報告されています。

効果の見方には研究上の制約もある

レビューの著者らは、過去の研究に方法上の問題や偏りのリスクがあり、結果への確信度を下げていると述べています。対象研究の多くは参加者が少なく、介入を受けた本人が内容を知っていたことも結果の評価に影響した可能性があります。根拠の確かさは全体として低いものから中程度までとされています。

人間工学的な介入を運動と比べた場合、回復や医療利用への効果に大きな差はない可能性があります。一方、生活の質は人間工学的な介入のほうが改善する可能性が示されています。ただし、この結果はレビュー全体の結論を左右するほど確かなものとは扱われていません。

負傷や不調の再発、休業以外の仕事上の成果については、研究データが限られています。仕事の成績や満足度への影響を評価するには、より質の高い研究が必要です。今回の結果は、特定の器具があらゆる人に無効だと示すものではなく、現在広く導入されている対策の効果を確かめる研究が十分でないことも反映しています。

設備だけでなく職場の仕組みも研究対象に

人間工学的な対策には、個人が使う椅子やマウスなどの変更に加え、休憩や勤務時間といった職場の運用を変える方法もあります。2018年までの研究をまとめた別のレビューでは、事務職の不調予防について、補助的な休憩がデータ入力作業者の首や腕の不快感を減らす可能性が示されました。ただし、根拠の確かさは非常に低いと評価されています。

同じレビューでは、ワークステーションの調整や昇降式デスクは、介入をしない場合と比べて上肢の痛みに効果を示しませんでした。人間工学に関する研修にも、上肢の痛みを減らす効果は確認されていません。椅子やマウスなどの設備変更と、休憩の取り方を含む職場運用の変更は、別の介入として評価されています。

今回のレビューは症状がある成人の治療を扱い、職場で症状を予防する対策を扱った2018年のレビューとは対象が異なります。そのため、両者を合わせても、特定の器具や運用変更がすべての作業者に有効だとは結論づけられません。著者らは、異なる人や症状ごとの効果を調べるため、大規模で設計の良い研究が必要だとしています。