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毒素が細胞に結合する足場を特定

ジョンズ・ホプキンス大学などの研究チームは、腸内細菌 Bacteroides fragilis の一部が作る毒素BFTの結合先となるタンパク質「クローディン4」を特定しました。チームはこの結合を妨げるおとり分子も作製し、マウスで毒素による組織損傷を抑えました。

BFTは、大腸の細胞同士をつなぐタンパク質Eカドヘリンを切断し、腸の内側を覆うバリアを損なう毒素です。

研究チームは、CRISPRという遺伝子編集技術を使い、大腸上皮細胞の遺伝子を一つずつ働かなくして調べました。クローディン4を作る遺伝子を止めると、BFTは細胞に結合できず、Eカドヘリンへの攻撃も起きませんでした。

クローディン4が毒素を細胞へ導く

クローディン4は、隣り合う細胞の間を密着させる「タイトジャンクション」を形づくるタンパク質です。細胞間のすき間を通る物質を制限し、腸のバリアを保ちます。

研究チームは、BFTとクローディン4が実験室で強く結合することも確認しました。毒素1分子と受容体1分子が複合体を作る結果が得られ、クローディン4がBFTの受容体として働くことが裏付けられました。

BFTは、ほかのタンパク質を切断する酵素「プロテアーゼ」の一種です。研究チームは過去の研究を調べた範囲で、BFTのように標的のEカドヘリンを切る前に別の受容体へ結合する例を見つけていません。

大腸がんとの関連を調べた先行研究

B. fragilisは健康な人の腸にも存在し、最大20%の人で見つかることがあります。ただし、腸内にいる菌すべてが毒素を作るわけではなく、BFTを産生する株が大腸の炎症や腫瘍形成に関わります。

2009年の研究では、毒素産生型のB. fragilis(ETBF)を保菌させたマウスで大腸炎と腫瘍が生じ、非毒素産生型では同じ結果になりませんでした。ETBFはSTAT3という細胞内の経路を活性化し、炎症に関わるTヘルパー17細胞の反応を引き起こしました。

2025年に公表された14研究のメタ解析では、大腸がん患者は健常対照群よりETBFが検出される可能性が高く、オッズ比は2.54でした。組織と便の検体の双方で、患者群の検出割合が高い傾向がまとめられています。

おとり分子の効果と次の課題

研究チームは、クローディン4の結合部分を含む可溶性タンパク質を作り、BFTを細胞から引き離すおとり分子として試しました。マウス実験ではBFTがおとりに結合し、大腸細胞への結合と毒素による損傷が抑えられました。

研究チームは、薬として扱いやすい性質を目指し、小分子や別の生物製剤による毒素阻害法を検討しています。BFTとクローディン4の結合構造を明らかにすれば、阻害分子の設計に役立つ可能性があります。