
衛星上でAIを動かすソフトウェアを開発
Satlytは衛星上でAIモデルを実行し、複数の衛星にまたがる計算基盤を構築するソフトウェアを開発しています。米カリフォルニア州サニーベールとナイロビに拠点を置く同社は、シードラウンドで800万ドルを調達しました。
創業者のラマ・アフロ氏は、Googleのクラウド事業とSpaceXのStarlink通信網で働いた経験を持ちます。Satlytは自社で衛星を製造する計画ではなく、異なる企業の衛星上でソフトウェアを動かす基盤を目指しています。
同社は、自社のソフトウェアをすでに2回の実証ミッションで飛行させました。衛星の運用で生じる異常の診断や、センサー情報の処理を軌道上で行い、地上へ送るデータを減らす用途から取り組んでいます。
Gemmaでエラー情報を圧縮
SatlytはGoogle DeepMindの小型AIモデル「Gemma」を衛星に搭載し、衛星内のソフトウェアエラーを分析しました。Gemmaは、システムログやエラー情報を短い診断内容にまとめ、地上へ送信するデータ量を抑える役割を担います。
画像処理プログラムにエラーを発生させる試験では、2つの事例で診断用データが1,319バイトから469バイトへ、1,318バイトから464バイトへ減少し、削減率はそれぞれ64.4%と64.8%でした。
衛星は地上局と通信できる時間や通信帯域に制約があります。NASAの研究では、衛星上で画像を選別し、重要度の高い情報を優先して送るAI手法が検証され、火災などの情報を大量の画像データに埋もれさせずに伝える方法が示されました。Satlytのエラー診断も、送信前にデータを処理する点で、こうしたオンボード処理と共通しています。
企業間の衛星計算基盤を目指す
次の実証では、異なる2機の衛星にまたがる共有計算システムの構築を目指します。Satlytはこれを軌道上のクラウドとして提供し、衛星運用者が自社の機体で他社のソフトウェアを動かせる形を構想しています。
同社のソフトウェアを搭載するミッションでは、インドのTakeMe2Spaceが製造する衛星を使います。NASAは宇宙でのクラウド計算に関するプロトコルの試験を依頼し、宇宙監視を手掛けるStellerianは画像処理を試す予定です。TakeMe2Spaceも、衛星が他社のソフトウェアを実行できることを実証します。
Satlytは異なるプラットフォームや運用者をつなぎ、衛星群を一体的に動かすネットワークを掲げています。同社はソフトウェアを2027年に向けて準備しています。この構想が進めば、個々の衛星内での処理に加え、複数機の計算資源を組み合わせる方向へ事業範囲が広がります。
調達を支えた事業構想
今回のシードラウンドは、ヒューストン拠点のNon Sibi Venturesが主導しました。同社のパートナーで、NASAの宇宙飛行士を20年以上務めたバーナード・ハリス氏も、投資判断に関わりました。
Satlytは、巨大な宇宙データセンターの実現だけに依存せず、衛星の増加に伴ってソフトウェアを使う機会が広がる事業を目指しています。Non Sibi Venturesのケント・ルーカス氏は、宇宙データセンターがなくても、打ち上げられる衛星の数を基盤に事業が成り立つ可能性を評価しました。
アフロ氏は、10年末までに衛星の20%でSatlytを稼働させたいと述べています。これは同氏の目標であり、現在の導入率ではありません.









