レーザー光を弦に見立てた14弦の自作ハープが公開されています。光を遮る手の動きで音量を変え、傾きや手の位置でも音に効果を加えられる構成です。光センサーのアナログ信号を使い、弦を遮ってから光が戻るまでの時間を演奏表現に結びつけています。
14本の光線を弦として演奏
各レーザーは対応するフォトレジスタ(光の強さに応じて抵抗値が変わる部品)を照らします。手で光線を遮るとセンサーの出力電圧が変化し、ソフトウェアが一定のしきい値を越えた状態を「遮断」と判定します。光が戻って電圧が再びしきい値を越えると、音が鳴ります。
この仕組みでは、光線を遮ってから戻すまでの電圧変化を測ります。素早く手を動かすと大きな音、ゆっくり通すと小さな音になるよう、所要時間をMIDIベロシティーの1〜127に対応させています。パッド系の音色では、光線を遮っている間、音を持続させる動作もできます。
本体には14個の光センサーを収め、2個の74HC4051アナログマルチプレクサーを介してマイコンの2つのアナログ入力へ接続しています。マルチプレクサーは複数の信号を切り替えて読み取る部品で、この構成では14本分を扱えます。起動時には各センサーの明るい状態と暗い状態を測り、部屋の明るさやレーザーごとの光量差に合わせて基準を調整します。
傾きと手の位置で音を変える
演奏中の操作には、加速度センサーによる本体の傾き検出と、超音波距離センサーによる手の位置の検出も使います。距離センサーはテルミンのように、手との距離を効果音の操作に使います。傾きも別の効果に割り当てられます。エンコーダーや2つのつまみも備え、音色や音量などを操作できます。
傾きの方向にはそれぞれ効果が割り当てられています。本体を右へ傾けるとビットクラッシャー、左へ傾けるとディレイ、演奏者側へ傾けるとピッチベンド、反対側へ傾けるとリバーブが加わります。距離センサー側では、フィルターやフリーズ、ビブラートなどの効果を選べます。
演奏モードには、アルペジオ、トレモロ、ストラムなどがあります。保存したプリセットを読み込む画面もあり、音色や効果、キーなどをまとめて切り替えられます。ルーパー用のフットスイッチ入力も設けられ、長押しで録音または重ね録りを始め、離すと再生する操作に対応します。
弦の音を作るKarplus–Strong方式
音源の中心は、弦をはじいたような音を合成するKarplus–Strong方式です。短いランダムな信号を作り、遅延させて戻す処理を繰り返すことで、弦の振動を模した音を生成します。遅延信号を隣り合うサンプルの平均でなめらかにすると、高い周波数成分がより早く減衰し、弦らしい響きにつながります。
基本方式では、繰り返しの周期が音の高さに関わり、遅延とフィルターを含むループが振動の減衰も形作ります。音の立ち上がりには、原型ではホワイトノイズのような短い信号を使います。このハープでは弦の音をピッチベンドできるよう調整した方式を使い、パッド音には単純な減算合成を採用しています。
演奏音は内蔵スピーカーから出せるほか、MIDI出力にも送れます。マイコンはTeensy 4.1で、音声処理にはTeensy Audio Libraryを使います。追加の音色や効果にはTeensy Audio Libraryなどを利用し、フリーズ、リバーブ、ディレイ、ビットクラッシャーといった設定を組み合わせています。
光センサーの選択と本体の構造
フォトレジスタは光の強さで抵抗値が変わり、フォトダイオードは光を受けると電流を生じる部品です。一般に、フォトレジスタは光の急な変化への応答が遅く、フォトダイオードはより速く変化を捉えます。このハープでは、フォトレジスタの電圧を連続的に読み、光が戻るまでの時間を音量に反映しています。
第2版の枠はチェリー材、側面はウォールナット材で作られています。レーザーは向きを調整できる3Dプリント製のマウントに固定され、内側の部品はコネクターを使って取り外せる構造です。初版は2019年の小型な3Dプリント製で、第2版は木工を取り入れた設計として2023年から2026年にかけて組み立てられました。
オプションの小型フォグマシンも接続できます。光線が遮られると約2秒間作動し、その後5秒間は再作動を待つ制御です。GitHubでは、ファームウェアや部品構成、配線情報が公開されています。










