米国の小児約256万人を対象にした研究で、生後24カ月までの麻疹・おたふく風邪・風疹(MMR)ワクチン接種と小児自閉症の診断に、リスク上昇との関連は見られませんでした。接種時期による偏りを抑える解析を行い、別のワクチンを使った検証でも同様の結果となりました。

年齢ごとの比較で接種時期の偏りを調整

Todd L. Burstain氏らは、米国の電子診療記録データベース「Cosmos」を使い、出生時の親の情報と結び付いた小児2,560,035人を調べました。対象者は生後12〜24カ月に少なくとも1回、通常の小児科診療を受けており、追跡は8歳まで行われました。

研究では、初回接種を受けた時期に応じて子どもを年齢の区間に分け、同じ区間内で接種した子どもと、区間の開始時点で未接種だった子どもを比較しました。こうした年齢基準のランドマーク解析により、接種まで診断を受けずに過ごす必要がある期間が比較に与える影響を抑えます。

研究チームは、接種時期と自閉症診断の双方に関わり得る要因として、母親の年齢、人種・民族、妊娠期間、妊娠中の病気、地域の社会経済的な不利などを調整しました。接種後に起きる要因は調整対象に含めていません。

主解析でリスク上昇との関連なし

生後11.5〜24カ月に初回接種した子どもを対象にした主解析では、調整済みハザード比は0.97で、99%信頼区間は0.91〜1.03でした。ハザード比は診断が生じる速さを比較する指標で、この信頼区間は「差がない」場合の値である1.0を含みます。

年齢区間ごとの解析でも、結果はおおむね差のない範囲にとどまりました。14.5〜17.5カ月と17.5〜24カ月の区間では接種した子どもの診断率がわずかに低くなりましたが、研究チームはこれをワクチンの予防効果とは解釈せず、残る偏りの可能性を挙げています。

解析方法を変えた場合も主な結果はほぼ変わらず、出生に関する要因を追加した分析ではハザード比0.97、地域の不利を示す指標を外した分析では0.96でした。自閉症の診断記録が1回だけの子どもを除いた分析でも、結果は維持されました。

別のワクチンを使った検証も同じ傾向

研究チームは、残余交絡を調べるため、肺炎球菌結合型ワクチンの追加接種を負の対照として分析しました。負の対照とは、対象となる結果との関連が想定されない要因を用い、解析が見せかけの関連を生んでいないか確認する方法です。

肺炎球菌ワクチンの追加接種は12〜15カ月ごろに行われ、分析で得られたハザード比は1.01、99%信頼区間は0.99〜1.04でした。MMRワクチンの分析と同様に、結果は関連がない場合に近い値でした。

この負の対照の結果は、定期診療の受診状況などに由来する偏りだけで、MMRワクチンとの関連が見えなくなった可能性は低いという研究チームの解釈を支えています。ただし、観察研究の記録を用いた分析であり、すべての交絡要因を取り除けるわけではありません。

診断対象と追跡期間には限界

この分析が扱ったのは、自閉症スペクトラム全体ではなく、小児自閉症の特定の診断コードでした。対象集団における診断割合は2.55%で、米国の小児に関する全国推定値より低いのは、診断範囲が狭いことが一因です。

家族に自閉症の人がいるかどうかはデータに含まれていません。年長のきょうだいに自閉症がいる家庭で下の子への接種が控えられる傾向があれば、接種が保護的に見える方向へ結果が偏る可能性があります。

また、接種した子どもの医療記録上の追跡期間は、未接種の子どもより長く、中央値はそれぞれ853日と366日でした。診断の機会が多くなり得る条件でも、主解析ではリスク上昇との関連は認められませんでした。

通常の接種時期と研究対象の範囲

米疾病対策センター(CDC)は、子どものMMRワクチンを2回接種するよう推奨し、1回目を生後12〜15カ月、2回目を4〜6歳としています。今回の研究が調べたのは、初回接種が生後11.5〜24カ月の期間に行われた場合の自閉症診断との関連です。

CDCの推奨では、通常、生後12カ月未満の接種は行いませんが、流行地域に住む場合や海外渡航などでリスクが高い乳児には、生後6〜11カ月での接種が認められています。この時期に接種した子どもも、1歳以降に通常の2回接種を受ける必要があります。

CDCが示す定期接種のうち、2回目の接種時期はこの研究の比較対象に含まれていません。