Print&LiveとiSCALE3Dが、無人地上車両向けの3Dプリント製エアレスタイヤ「Arkan」を開発しました。負傷者の搬送や物資輸送を想定し、空気を使わない構造と現場で交換しやすいリムを採用しています。ウクライナ国防軍部隊による試験では、凍結路やぬかるみを含む環境を走行し、負傷者の搬送にも使われました。
格子構造と分割リムで現場交換
Arkanは、荷重を支える弾性素材とポリマー複合材を使った格子構造の車輪です。空気を充填する必要がなく、開発者は転がり抵抗を抑えることで、既存のエアレスタイヤと比べて車両の航続距離を最大30%伸ばせるとしています。
側面を覆う構造と丸みを持たせたトレッドは、泥や石、氷が車輪にたまるのを防ぐ設計です。格子構造は一部が損傷しても荷重を支えることを意図しており、試験ではトレッドが摩耗した後も機能を保ちました。
リムは二つの部品に分かれ、基本的な工具で現場でタイヤを取り付けたり交換したりできます。車両の重量や任務に合わせて、車輪の硬さや振動を抑える特性、形状をデジタル上で調整できると開発者は説明しています。
走行試験では負傷者の搬送も実施
TARGAN 3K 244 EVO 1は試験場で210kmを走行しました。さらに冬季の戦闘任務11回で計151kmを走り、1,825kgの貨物を運んだほか、負傷者1人を搬送しました。
別の無人地上車両「Rys Pro」を使った試験では、ぬかるんだ地面や凍結路で重い荷物を積み、別の車両をけん引しました。その間、車輪は荷重を支え、層の剥離や構造上の亀裂は生じなかったとされています。
これらはウクライナ国防軍部隊と行った野外・戦闘環境での試験です。報告された走行距離や搬送実績は特定の車両と任務に関するもので、さまざまな車両や路面で同じ性能が得られることを示す数値ではありません。
荷重を支える仕組みはタイヤごとに異なる
空気を使わないタイヤは、空気圧の代わりに構造材で荷重を支えます。ブリヂストンの「エアフリー」では、タイヤ側面の特殊形状スポークが車輪と路面に接するゴム部分をつなぎ、荷重を支えるとともに衝撃を吸収します。
ブリヂストンは、強くしなやかな樹脂素材と、その特性を生かす設計を組み合わせてエアフリーを開発しています。また、路面に接するゴム部分を貼り替えられ、スポーク部分の樹脂をリサイクルできる構造です。
Arkanは格子状の車輪本体で荷重を支える設計で、エアフリーのスポーク方式とは構造が異なります。どちらも空気の充填は不要ですが、Arkanは悪路での走行と現場交換を想定し、車両に合わせて車輪の特性を調整できます。
小ロット生産から供給拡大へ
Arkanは研究開発段階を終え、現在は戦闘部隊向けに小ロットで生産されています。Print&LiveとiSCALE3Dは、無人地上車両のメーカーや軍部隊からの需要に対応するため、印刷能力を拡大しています。
開発者によると、車輪一式の重量は32〜56kgで、比較対象の海外製エアレスタイヤの88〜144kgを下回ります。価格は一式約680ユーロで、開発者が挙げる海外製品の3,000〜4,000米ドル以上という価格と比較されています。











