
室内写真から物件候補を表示
Graylark Technologiesの捜査向けAIツール「Raven」は、室内写真を手掛かりに、撮影場所となった住宅などの候補を探す機能を追加しました。デモでは、洗濯機と乾燥機の写真からシャーロットの短期賃貸物件、浴室の写真からカリフォルニア州モンテシートの住宅が候補に挙がっています。
デモでは、利用者が写真をアップロードして検索地域を選ぶと、数秒後に地図と候補一覧が表示されます。候補の説明文はAirbnbやVrboの掲載文と一致し、掲載写真にも同じ物件が写っていたとされています。
Ravenでは、短期賃貸のほか、サンフランシスコの室内写真からZillowに掲載された物件写真を返した例や、ホテルを特定した例もあります。GraylarkのCEO、ダニエル・ハイネン氏は、2026年に米国内のホテル、短期賃貸住宅、一戸建て、アパートを対象とする室内位置推定へ投資すると述べています。
写真の特徴と照合で場所を探す
404 Mediaによると、Ravenの処理は、写真そのものと同一の画像を探す一般的な逆画像検索とは異なります。室内の特徴を読み取り、同じ物件で撮影された可能性のある別の写真と照合する仕組みです。
視覚的位置認識(VPR)は、検索対象の画像と保存済み画像の視覚的な重なりを手掛かりに場所を認識する技術です。研究者らは、同じ物理的な場所でも視点が大きく異なると一致とみなせない場合があり、視点が重なれば撮影位置が離れていても認識できると定義しています。
画像検索では、画像全体の特徴表現を使う方法や、画像内の特徴を照合する方法が使われます。場所を認識する場合は、意味や見た目が似た画像を探すのではなく、場所を示す視覚的な手掛かりを照合します。
視点や照明の違いは照合を難しくする
2015年の視覚的位置認識研究は、昼夜や季節、経年変化、建物の構造変更によって見え方が変わると、場所の照合が難しくなるとしています。屋外画像を対象としたこの研究では、検索画像とデータベース画像の視点が近いほど、大きな見た目の変化があっても照合しやすいと報告しています。
同研究は、東京で撮影した1,125枚の携帯電話画像を含むデータセットを使い、照明や構造の変化を含む条件で複数の手法を比較しました。提案手法は、仮想視点の画像生成と、画像をコンパクトに表現して検索する方法を組み合わせています。
室内画像による位置推定を扱った2026年のレビューでは、模様の少ない表面、動きのある環境、変化する照明が、従来手法と深層学習手法の双方に残る制約として挙げられています。レビュー対象の研究では、深層学習手法が速度、信頼性、精度の指標で従来手法を上回ったと整理されています。
利用実績とデータ収集をめぐる論点
Ravenは以前「GeoSpy」と呼ばれ、ロサンゼルス市警察とマイアミ・デイド郡保安官事務所が利用権を購入したと報じられています。マイアミ・デイド郡保安官事務所の広報担当者は、利用は限定的かつ探索的で、重大な捜査上の進展や逮捕にはつながっておらず、ツールの情報だけ、または主な根拠として結論に至った事件はないと説明しました。
Airbnbは、掲載写真から位置情報メタデータを除き、住所を予約確定後に共有する仕組みなどを挙げたうえで、Graylarkとの関係はなく、利用規約でスクレイピングを禁じており、今回の件を調査中だと回答しました。Zillowも、データのスクレイピングは利用規約に反するとし、必要に応じて法的手段を取ると述べています。
Graylarkは世界中の数百万枚の画像でRavenを訓練したと説明しています。404 Mediaが2025年1月に初めて同ツールを取り上げた際、一般利用者も使える状態で、同社のDiscordでは女性へのストーキングに関する質問が寄せられていました。その後、同社は取材を受けた翌日に、利用対象を政府機関と企業の利用者に制限しました。










