
AfterShipは11億件を超える荷物を追跡し、配送状況の通知から返品、複数の配送業者を使う出荷管理へとサービスを広げてきました。創業者のTeddy Chan氏は、配送予定の予測や例外対応をAIで支援し、購入後の顧客対応を変える構想を示しています。
顧客への問い合わせ対応から始まった事業
Chan氏は2004年にオンラインストアを始め、アジアから仕入れたMP3プレーヤーなどを海外で販売しました。注文が増えるにつれて「荷物はどこか」という問い合わせが膨らみ、手作業での対応が難しくなりました。
コンピューターサイエンスを学んだChan氏は、配送業者の状況を確認して顧客に知らせるプログラムを作りました。同氏によると、この仕組みにより問い合わせメールへの手作業での対応は60%超減りました。
その後、同じ課題を抱えるオンラインストア運営者から相談を受け、2012年にAfterShipを創業しました。初期の地図表示ではなく、購入者が知りたいのは荷物の現在地より到着時期だと考え、到着予定日の表示へ軸足を移しました。
配送予定日を購入前に示す
AfterShipは、配送予定日を注文後の追跡画面だけでなく、購入手続き前にも示す仕組みを提供しています。購入者が到着時期を見て配送方法を選べるようにし、問い合わせの削減と購入時の判断支援につなげる狙いです。
配送予定日の予測では、発送元と届け先の郵便番号、荷物の寸法などを入力し、過去の配送結果から到着日を算出する方式があります。ShippoのEstimate APIは、数百万件の実配送データを基に、配送業者や季節、地域ごとの傾向を予測に取り込みます。予測結果は信頼度を設定して受け取り、商品ページや決済画面に単日または期間で表示できます。
国際配送の所要時間は、集荷から出発拠点への移動、航空輸送、通関、最終配達といった複数の区間に分けて考えられます。通関にかかる時間は、荷物の価値や税額、曜日によって変わる要素として扱われています。配送業者が出す予定日と単純に比べず、複数区間の実績や状況を予測に反映する仕組みが、到着時期の見積もりに役立ちます。
複数業者をまたぐ追跡と例外対応
AfterShipは1,400社超の配送業者と連携し、国際配送を含む荷物の状況を一つの追跡情報にまとめています。国境を越える荷物は複数の業者や税関を経由するため、引き渡しのたびに追跡情報が途切れたり、問題の発見が遅れたりすることがあります。
異なる業者のイベントを共通の段階に整理すれば、業者ごとに異なるステータス表現を一つの時系列で扱えます。国際配送では、集荷、輸出拠点、航空輸送、輸入、通関、最終配達など、通常6〜10の接点を経由する場合があり、各社が引き渡し後に更新を止めると情報の空白が生じます。追跡番号を注文や荷物の識別子と結びつけ、業者が切り替わっても履歴をつなぐ方法も、追跡の可視性を保つ手段として挙げられています。
AfterShipは、配送の例外を業者や問題の種類ごとにまとめ、個別の問い合わせを一つの対応タスクに集約するAIエージェントを導入しました。一方、複数業者の追跡情報を活用する一般的な方法では、停滞や通関の遅れを検知し、次に対応する担当者や必要な作業を通知する設計が示されています。Dr. Squatchでは、99.98%の注文を対象に、予定配送日の正確性が94%に達したとされています。
返品対応から機械同士の連携へ
返品では、返金で取引が終わる場合と交換で顧客との関係が続く場合があり、AfterShipは返品申請の審査に顧客履歴やリスク評価を使っています。Naked Wardrobeでは返品審査が約40%速くなり、返品の15〜20%が手動審査なしで処理されるようになりました。金銭や顧客に関わる判断は担当者が承認する運用です。
Chan氏は、AIエージェントが購入者に代わって商品を探し、比較し、決済するようになると、購入後の対応が顧客との接点として重要になると予測しています。AfterShipは、Shopify Sidekick、Claude、ChatGPT向けのModel Context Protocol(MCP)サーバーとコネクターを提供し、エージェントが配送や注文に関するデータを扱えるようにしています。
Chan氏は、将来は購入者側と販売者側のエージェントが配送状況などを直接やり取りし、人が例外に対応する形を見込んでいます。AfterShipは追跡、返品、出荷のデータを統合しています。同氏は、エージェントを顧客対応に使う際には、注文や配送業者、倉庫、顧客履歴を一緒に扱えるデータが重要だと述べています。










