
Benchmarkが、迎撃ミサイルの量産を目指す米スタートアップFurientisのシードラウンドを主導し、2500万ドルを出資しました。設立から約1年の同社は、米国防総省から資金付きの契約を得て中距離迎撃ミサイルを開発しています。高性能を追求する従来型とは異なる設計と生産方法で、調達数を増やす考えです。

量産しやすさを重視した設計
Furientisは、最上位の迎撃ミサイルと同等の性能を目指すのではなく、入手しやすい部品を使い、短時間で組み立てられるシステムを設計・製造しています。TechCrunchによると、同社は1基あたりの価格を従来型の迎撃ミサイルより大幅に抑える方針ですが、Furientis製品の具体的な単価は明らかにされていません。

共同創業者のBrody Franzen氏は、従来型の「高性能」ミサイルは1基約300万ドルになる場合があり、安価な脅威への対処に使うには負担が大きいと説明しています。Franzen氏は、米海軍への迎撃ミサイル供給が年間300〜500基にとどまる一方、中国は対艦巡航ミサイルを月3000基生産すると主張していると述べ、供給量の差を創業理由に挙げました。
中距離迎撃システムが想定する脅威の例として、米海兵隊のMedium-Range Intercept Capability(MRIC)があります。海兵隊によると、MRICは敵の巡航ミサイルのほか、有人・無人の航空脅威を探知、追跡、識別して迎撃するシステムです。これはFurientisの製品ではなく、同社のミサイルがどの標的をどの仕組みで迎撃するかを示す情報でもありません。
PAC-3 ACEとの違い
低価格化を掲げる別の例に、Lockheed Martinが2026年7月に発表したPAC-3 ACEがあります。同社は、PAC-3 ACEの1基あたりの価格をPAC-3 MSEの半額未満とし、航空機などの空気吸入式脅威、巡航ミサイル、短距離・近距離弾道ミサイルへの対処を想定すると説明しています。
PAC-3 ACEはPAC-3の射撃管制システムを基盤とし、Patriotミサイルシステムや統合戦闘指揮システム(IBCS)と連携する設計です。 一方、Furientisは既存の最高性能を追うより、部品調達と組み立てのしやすさを軸にしています。両社は低価格化を目指していますが、対象脅威やシステム構成が異なるため、単価だけで性能や費用対効果を直接比較できる情報はありません。
試験を重ね、工場ごとに年1000基を目指す
Furientisは、ロサンゼルスの施設で開発を進め、ニューメキシコ州のホワイトサンズで試験発射を行っています。Franzen氏によると、同社は出資を受けるまでに試作品を製造し、約12回の発射を実施していました。TechCrunchは、同社が現地試験をおよそ2週間ごとに行っていると伝えています。
同社の最終目標は、工場1カ所あたり年間1000基の生産です。現在の施設からその規模へどう移行するか、量産時の単価や国防総省への納入時期は、報じられた内容では具体化されていません。資金調達は、試作と試験を進めてきた同社が生産拡大を目指す段階にあることを示しています。
Benchmarkにとって、今回の出資は純粋な防衛スタートアップへの初の投資です。Furientisは5月に発表した500万ドルのプレシード資金に続き、2500万ドルを調達しました。企業価値は、同社に詳しい人物の話として1億2500万ドルと報じられています。
Franzen氏はVirgin Galacticで副主任技師を務めた後、極超音速ミサイル企業Castelionに参加し、共同創業者のAris Simsarian氏はVirgin Orbitでロケットエンジン試験を率いていました。 迎撃ミサイルの量産を進める企業はFurientisだけではなく、Franzen氏はAnduril、Castelion、Shield AIも取り組んでいると述べています。既存の防衛大手も製造工程の近代化を進めているとされ、Furientisは複数の企業が供給拡大を競う分野に参入しています。











