
ISSから見た地球の大気と生命
国際宇宙ステーション(ISS)で約8カ月を過ごしたCrew-12の船長、NASAのジェシカ・メア飛行士は、宇宙から見る地球の大気の薄さから、生命を支える環境の脆さを実感すると語りました。宇宙からの眺めは、地球を守る必要性や人類のつながりを強く意識させるとも述べています。
ISSからは、国や地域の境界が地球上で引かれたものであることも見て取れるといいます。メア飛行士は、地球を上空から眺める経験によって、自分や他者、人類全体への見方が変わると話しました。
ロシアの宇宙機関ロスコスモスのアンドレイ・フェジャエフ飛行士も、ISSでの共同生活に触れました。乗組員は境界を意識せず、全員で協力してクルーとステーションの安全を支えると述べ、地球も宇宙を飛ぶ一つの船として大切にすべきだと語りました。
「概観効果」と呼ばれる宇宙飛行士の体験
宇宙から地球を見たときに生じる、地球への理解や人類との一体感の変化は「概観効果」と呼ばれます。この名称は、宇宙哲学者フランク・ホワイトが1987年に著書で用いました。
宇宙飛行士は、地球を宇宙の暗闇に浮かぶ姿として見ることで、その美しさや脆さ、人類とのつながりを強く感じることがあります。宇宙からは地球を覆う大気の薄さも視覚的に捉えられます。
体験の受け止め方は一様ではありません。地球を見た宇宙飛行士は、親しみや幸福感だけでなく、恐怖や孤独を感じる場合もあります。小さく無力だと感じる人もいれば、人類との結びつきを強く感じる人もいます。
地球を守りたいという意識と研究上の留保
宇宙飛行士の多くは、帰還後、地球をより守りたいと考えるようになったと報告しています。環境や人々、生態系を含め、地球が人類の住む場所であるという意識は、概観効果と結びついています。
概観効果が人に及ぼす影響は、まだ十分に理解されていません。地球を見た経験が長期にわたり環境意識や連帯感を変えるとは断定できず、宇宙飛行士の報告と、効果について確立した説明は区別されます。
メア飛行士は、宇宙からの眺めを多くの人と共有できれば、地球を守る必要性への理解につながるとの考えを示しました。フェジャエフ飛行士は、クルーが互いの行動に安全を委ねるISSでの暮らしを、地球上の人々がともに生きる姿の例として挙げています。
Crew-12の滞在とミッションの記録
Crew-12はメア飛行士、フェジャエフ飛行士、NASAのジャック・ハサウェイ飛行士、欧州宇宙機関(ESA)のソフィー・アデノ飛行士の4人で構成されました。4人は2026年2月13日にスペースXのファルコン9で打ち上げられ、翌日にクルードラゴン宇宙船「フリーダム」でISSへ到着し、10月8日に地球へ帰還しました。
滞在中、乗組員は科学実験やステーションの保守作業に取り組みました。メア飛行士とフェジャエフ飛行士にとっては2回目の宇宙飛行で、ハサウェイ飛行士とアデノ飛行士は初飛行でした。
アデノ飛行士はフランス人女性として初めて船外活動を行い、欧州宇宙飛行士による連続宇宙滞在の記録を237日へ更新しました。従来の記録は、2019年から2020年にルカ・パルミターノ飛行士が記録した201日でした。










