
ドイツのスタートアップEDENenergyは、使用済みの電動キックボード用電池112個を組み合わせた、容量70キロワット時の産業用蓄電システムを顧客に納入しました。電池を分解せずに再利用し、劣化したモジュールだけを交換できる構成です。
70キロワット時の蓄電システムを納入
このシステムは、太陽光発電設備を持ちながら蓄電設備を備えていない中規模企業を初期顧客として想定しています。初号機は10月中旬に納入され、電動キックボードで使われた電池112個を接続しています。
電池の再利用では、車両で必要な性能を満たさなくなった電池を、負荷条件の異なる定置型蓄電に転用します。EDENenergyは、交換可能な電池モジュールと電力変換装置を組み合わせ、異なる電池を蓄電システムへ接続する技術を開発しています。
用途には、太陽光発電の自家消費を高めるほか、地域の電力事業者がピーク負荷を抑えたり、電力取引に使ったりすることがあります。初号機の容量は70キロワット時で、同社は今後、最大300キロワット時のシステムへ拡大する計画です。
電池の状態を調べてから接続
再利用にあたり、EDENenergyは各電池モジュールを初期検査で調べています。創業者らは残存容量を約80%と見積もっていましたが、最初に検査した350個の電池は想定より状態が良く、一部では残存容量が90%を大きく上回りました。
電池の状態を示す指標の一つに、劣化後に残っている容量の割合があります。電気自動車用電池の定置型再利用を扱う研究では、使用履歴を基に適性を評価する信頼性評価の仕組みや、電池の点検方法が検討されています。
この研究では、再利用を想定した電池の安全性を調べるため、火災試験も行われました。また、実車での使用データを踏まえて、再利用先への適性を評価する考え方も示されています。EDENenergyの事例では、個々の電池を試験してから接続しています。
モジュール単位の監視と交換
EDENenergyは蓄電システムの各モジュールを遠隔監視し、寿命に達したものを個別に交換します。交換時にシステム全体を停止する必要はなく、蓄電容量を維持するため、劣化した部分だけを取り替えられます。
電動モビリティ用電池を定置型に転用するには、用途に合わせた電池管理システムと安全構成が必要です。電池の劣化は個別の使用状況に左右されるため、再利用研究では、使用履歴を用いた信頼性評価や用途に応じた電池管理が検討されています。
ドイツ連邦材料研究試験機関(BAM)が参加したSEE-2L研究では、定置型の再利用電池における熱暴走時の火災挙動やガス放出が調べられました。熱暴走は電池内部で異常な発熱反応が起きる現象で、可燃性ガスに加えて一酸化炭素やフッ化水素が放出される場合があります。この研究では、危険な状態を早期に検知することも課題とされました。
異なる電池への対応と事業拡大
現時点で同社は、同じ種類の電池をまとまった数だけ調達できる大口供給元を利用しています。電動自転車用も含め、メーカーごとに電池の種類が多く、新しい電池に合わせて接続端子、電池管理システム、通信方式を調整する必要があると、共同創業者のフロリアン・ビアーヴィルト氏は述べています。
次の段階として、同社は複数種類の電池を一つのシステムで使えるようにする方針です。また、蓄電システムの通信規格や、車載用電池を定置型へ転用する際の法制度の整備も必要だとビアーヴィルト氏は指摘しています。
使用済み電池の定置型転用に関する研究レビューでは、再利用によってリサイクルを直ちに行わずに済み、新しい電池の製造や廃棄に伴う資源・エネルギーの使用を抑えられる可能性が論じられています。一方、再利用先への適性を評価する際には、技術面に加えて経済面も考慮すべきだとされています。EDENenergyは地域企業向けの実証顧客を探しており、ドイツの州助成制度による蓄電システム費用の50%補助が承認されています。










