
Linux 7.5で削除される可能性があるHPFS
OS/2向けに開発されたファイルシステム「HPFS」のLinuxカーネル用ドライバーを削除するパッチが、Linuxカーネルのメーリングリストに提出されました。対象はコード全体の6,969行です。Linux 7.5に採用されるかは、今後の判断に委ねられています。
HPFSはHigh Performance File Systemの略称です。IBMとMicrosoftがOS/2向けに開発しました。Linux用ドライバーは長くメンテナー不在の状態にあり、現在の利用者はいないとみられます。
Linuxでは、古いUnixWareのブート用ファイルシステムであるBFSがLinux 7.4で削除されました。HPFSの削除パッチは、BFSに続くものです。
大容量ディスクや長いファイル名に対応した設計
HPFSはOS/2 1.2で導入され、当時普及し始めていた大容量ハードディスクへの対応を目的の一つとしていました。FATのディレクトリ構造を引き継ぎながら、ファイル名に基づいてディレクトリを自動で並べ替える設計です。
ファイル名は最大254文字の2バイト文字に対応します。割り当て単位にはクラスターではなく512バイトの物理セクターを使い、ディスク上の未使用領域を抑える仕組みを取り入れていました。
ファイルをできるだけ連続したセクターへ配置する設計は、順次読み書きの速度を高めるためのものでした。ディスクは8メガバイト単位の領域に分けられ、領域ごとの割り当て情報を使って保存場所を管理します。
保守上の制約とセキュリティ上の問題
Linux用ドライバーは長期間メンテナンスされておらず、SMPカーネルのビルドやPREEMPT構成では動作しないなどの技術的制約があります。SMPは複数のプロセッサーを扱う仕組み、PREEMPTはカーネル処理の割り込みやすさに関わる設定です。
また、HPFSドライバーにはCVE-2026-97486として扱われる脆弱性があり、カーネルパニックやサービス拒否につながる可能性があります。こうした問題も、パッチでドライバーのコードを取り除く動きの背景にあります。
Phoronixは、AIエージェントがソースツリー全体を調べる状況も、保守されていないコードの負担を増やす要因として挙げています。
EFSの削除に見られる過去の例
Linuxカーネルでは、SGIのIRIXで使われたEFSの読み取り専用ドライバーも削除対象となりました。EFSはIRIX 6.0でXFSに置き換えられ、Linuxカーネルでは20年以上メンテナーがいない状態だったとされています。
削除パッチはLinux 7.3向けのVFS開発ブランチに取り込まれ、同バージョンで削除される見込みとなりました。EFSのファイルシステムを読み取るユーザー空間ツールも存在します。
パッチについてコメントしたChristian Braunerは、EFSを実際に見たのは1999年が最後だと述べ、保守されていないコードがカーネル全体の変更時に負担になると評価しました。











