MSX Turbo R (1990)
写真: Tilemahos Efthimiadis / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons

MSX向けの自作音源カートリッジ「Misato MSX」が公開されました。ヤマハの音源チップYMF288を搭載し、MSX本体の音源とは別に、FM音源やリズム音源などを使った再生・演奏に対応します。設計はRicardo Suzuki氏のプロジェクトとして公開されています。

YMF288でFM・SSG・リズム音源を構成

YMF288はOPN3とも呼ばれるヤマハの音源チップです。Misato MSXはこのチップを中心に構成され、FM音源6チャンネル、SSG(ソフトウェア制御の音源)3チャンネル、リズム音源6チャンネルを備えています。

FM音源は、複数の波形を変調して音色を作る方式です。OPN系チップでは各チャンネルの音をデジタルで生成し、ミキサーを通した後、DAC(デジタル信号をアナログ音声に変換する回路)で出力します。Misato MSXにはDACも組み込まれています。

SSGは矩形波やノイズを使い、FM音源とは異なる方式で音を出します。リズム音源もチップの音源チャンネルの一部です。YMF288にはADPCM音源がなく、Misato MSXもADPCMを除いた構成です。

MSXからの音声出力と使い方

カートリッジの音声は、本体のステレオライン出力端子から取り出せます。また、モノラルにまとめてMSX内部のミキサーへ送ることもできます。本体外部へ出す方法と、本体側の音声に混ぜる方法を選べます。

Misato MSXは自作できるカートリッジです。プロジェクトは「Makoto OPNA(YM2608)とおおむね互換」と説明し、MSX向けのプログラム可能な音源カートリッジと位置づけています。この互換性にはADPCMを除く旨が添えられています。

既存のMSX向け音楽再生ソフトに、VGM形式のファイルを再生するVGMPlayがあります。VGMはゲーム音楽などの演奏データを記録する形式です。VGMPlayは圧縮形式のVGZにも対応し、MSX上の複数の音源チップを扱います。対応一覧にはYM2203、YM2608、YM2610などのOPN系チップも含まれます。

VGM形式に対応するMSX用プレーヤー

MSX用VGMプレーヤーにはPop!Artもあります。2021年に公開された初版はVGM 1.7の再生に対応し、PSG、YM2413、YM2151、OPL3・OPL4、Y8950などを対応音源として挙げています。

VGMPlayはVGMとVGZの両形式を扱い、MSX1からMSX turboRまでを対象にしています。再生にはMSX-DOS 2などのシステム要件があり、対応音源は内蔵PSGやFM-PAC、MoonSoundなど複数の拡張機器にまたがります。MSX上で音源チップ別の演奏データを再生する既存環境です。

Misato MSXでは、OPN系の音楽再生や、対応ソフトを使った作曲が用途として挙げられています。VGMPlayやPop!ArtはMSX向けの既存プレーヤーですが、Misato MSXを直接サポートするとは記載されていません。カートリッジで再生・作曲するには、YMF288を扱うソフトウェアも関係します。

設計公開と音源の位置づけ

Misato MSXのプロジェクトは2026年7月に作成され、CERN Open Hardware Licence Version 2のPermissiveライセンスを掲げています。MSXパーソナルコンピューター向けの音源カートリッジとして、YMF288のSSG・FM・リズム音源を利用する設計です。

YMF288はYM2608の後継系統にあたり、FM音源6チャンネル、SSG3チャンネル、リズム6チャンネルを備える一方、ADPCM音源など一部の機能を持ちません。Misato MSXのプロジェクトは、YM2608とのおおむねの互換性と、ADPCMを除く点を明記しています。