Sashiko 191k
出典: phoronix.net

99のメーリングリストでレビューを実施

GoogleのAIモデルを使うオープンソースのコードレビューシステム「Sashiko」が、稼働開始から1年足らずで、Linuxカーネルのパッチを19万1,000件以上レビューしました。対象は99のメーリングリストに及び、レビュー過程でGitリポジトリを自動検索した回数は1,900万回を超えます。

Sashikoは、Linuxカーネルへの変更案を調べ、レビュー結果を返す仕組みです。Roman Gushchin氏はLinux Plumbers Conferenceで、開発者から寄せられた返信が7,600件以上、返信した開発者が1,100人以上に達したと報告しました。

レビュー結果は開発者とのやり取りにもつながっています。今年、Sashikoへの言及を含むコミットはLinuxカーネル本体で1,277件以上、linux-nextで1,567件に上り、Sashikoを引用したLinuxカーネルのCVE(共通脆弱性識別子)は463件でした。

人のレビューを補助する仕組み

Sashikoは公開メーリングリストを監視し、提案されたカーネル変更を評価するシステムです。高水準の設計確認からセキュリティ、リソース管理、並行処理まで、異なる観点のレビューを担うとされています。

AIの指摘は、メーリングリスト上で開発者が検討し、返信する形で人のレビューに加わります。Sashikoを引用するコミットがある一方、引用には統一基準がないとされています。

2026年5月の議論でRoman Gushchin氏が示した分析では、1,500のメールスレッドにおける誤検知率は約10%、真陽性は約85%でした。残りは評価が分かれる範囲で、重要度が高い指摘に限ると正確性は約97%だったと報告されています。

指摘の揺れとレビュー上の課題

Sashikoの出力は確率的で、同じパッチを調べても実行ごとに異なる結果が出ることがあります。大規模なパッチや一連のパッチではレビューの質が下がる場合もあると、Gushchin氏らは説明しました。

ハードウェア仕様など、コード外の情報が必要な変更では、指摘を人が確かめる必要があります。議論では、LLMが論理的に見える問題を指摘しても、実際の仕様とは合わない場合があるという経験も紹介されました。

一方で、パッチ一式を適用した後の状態を調べ、後続パッチで解消された問題を除く仕組みも説明されています。指摘の扱いは開発者やメンテナーが判断し、AIの提案に合わせてコードを変更する必要はないという見解も示されました。

ローカル実行と今後の開発

SashikoはLinux Foundationに属するオープンソースプロジェクトで、Apache License 2.0の下で公開されています。現在のサービスでは、計算資源とLLMのトークンをGoogleが提供・負担しています。

Googleのエンジニアは、端末上でレビューするモードと、継続的に使うバグデータベースの開発を進めています。Sashiko自身にレビューを行わせる自己レビューも、今後の作業として挙げられました。

これらの機能が加われば、メーリングリスト上でのレビューに加えて、手元で変更案を調べる使い方も広がる可能性があります。現時点で示されているのは開発中の機能であり、提供時期は報告されていません。