Michael Dell | Dell DM
出典: dell.com

Michael Dellは大学の寮で始めたPC事業を拡大し、Dell Technologiesの企業価値は10月30日時点で3020億ドル(約47兆円)に達しました。Dellは起業家に、アイデアの評価を周囲に尋ねる前に自分の判断を信じるよう伝えています。

寮で始めたPC事業と「尋ねるな」という助言

Dellは1983年、テキサス大学オースティン校に在学中、寮の部屋で学生向けにパソコンのアップグレード部品を販売し始めました。投資資金は1,000ドル(約16万円)で、Dellは19歳でした。

Dellは、独自性があり、ほかの誰も手がけていないものを作る必要があると話しています。また、新しいアイデアが良いものか人に尋ねても、多くは否定的な答えを返すとして、「尋ねに行くな」と助言しました。

Dellはリスクを取ることを事業上の強みと捉え、失敗も受け入れる必要があると述べています。大企業はリスク低減に意識が向きやすく、リスクがなければイノベーションも生まれないという考えです。

注文に合わせて組み立てる直販モデル

創業初期のDellは、IBM互換パソコンの部品を調達して組み立て、既存ブランドより15%安い価格で顧客に直接販売しました。注文に合わせたパソコンを数時間で組み立てられる体制を取り、小売店を通さずに販売しました。

直販では、小売店を使う場合より施設費と在庫費を抑えられる一方、輸送費は高くなります。顧客の注文に応じて構成を変えられることも、この方式の特徴でした。

Dellは創業初期に24時間対応の電話窓口や交換部品の迅速な発送を導入し、1987年にはPC企業として初めて翌日訪問修理を提供しました。小売店では商品をすぐに持ち帰れ、幅広いサポートも受けられますが、多数の構成を在庫としてそろえるのは困難でした。

市場の変化が直販の見直しを促す

2000年代半ばには、世界のPC市場で競争が強まりました。2006年の世界出荷台数はIDC推計で前年比10%増の2億2860万台となり、2005年の16%増から伸びが鈍化しました。

2006年の年間シェアはIDC推計でDellが17.1%、HPが17.0%でしたが、2007年にはGartner推計でHPが18.2%、Dellが14.3%となりました。2007年の世界出荷台数は2億7120万台で、前年比13.4%増でした。

PCの標準化が進み、顧客が選ぶ構成の幅が狭まると、直販によるカスタマイズの価値は小さくなります。小売店では人気の標準モデルを販売し、直販では幅広い構成を扱う併用案も示され、Dellは2007年に小売販売を再開しました。

事業の再編と現在の規模

Dellは2007年、低迷する販売と競争の強まりを受けて経営体制や事業戦略を見直しました。2013年には244億ドル(約3兆8,000億円)で非公開化し、2015年にはEMCを670億ドル(約11兆円)で買収しました。

Dell Technologiesは2018年に再上場し、時価総額は160億ドル(約2兆5,000億円)から上昇して、10月30日時点で3020億ドル(約47兆円)となりました。Dell自身の純資産はBloomberg Billionaires Indexで2340億ドル(約37兆円)と推計されています。

Dellは、社内で研究開発に数十億ドルを投じ、数百のプロジェクトに取り組んでいると述べています。すべてが成功するわけではないことを受け入れる姿勢も、同氏が語るリスクの考え方に含まれています。