
NASAの宇宙望遠鏡「Swift」が、数日以内に地球大気へ再突入する見通しです。救出ミッションによる軌道引き上げに失敗し、落下地点を制御できない状態で運用を終えました。機体の大部分は燃え尽きるとみられますが、残骸が届く可能性のある範囲は赤道付近に広がります。
Swiftの運用終了と再突入
Swiftは2004年11月に打ち上げられた宇宙望遠鏡です。ガンマ線バーストと呼ばれる、宇宙でも特に強力な爆発現象をはじめ、さまざまな天体や宇宙現象を観測してきました。
観測には、バースト警報望遠鏡、X線望遠鏡、紫外線・可視光望遠鏡の3つを使っていました。NASAが軌道高度を275キロと報告した後、機体は大気抵抗の増加に対応できなくなり、安全モードに移行しました。
ペンシルベニア州立大学の運用チームは、Swiftの運用を終える指令を送りました。ロボットによる救出ミッションでは望遠鏡を高い軌道へ移せず、Swiftは自力で再突入を制御できないまま地球へ戻ることになります。
落下地点は赤道付近の軌道帯
再突入の正確な時刻と残骸の落下場所は特定されていません。Swiftの軌道は赤道から南北約21度の範囲を通り、その帯には海のほか、アフリカ、南アジア、東南アジア、ラテンアメリカの人口が多い地域も含まれます。
宇宙機は高度約120キロに達すると、再突入の終わりまで数分ほどになることがあります。航空宇宙エンジニアのディーン・スレーデン氏は、大気との摩擦で機体前方が熱せられ、太陽電池パネルやアンテナが先に外れ、高度約78キロで本体が分解すると見込んでいます。
アルミニウム製の構造や配線、電子機器の多くは再突入時に溶けるとみられます。一方、熱に強いチタンや鋼、ガラスなどの部品は残る可能性があり、スレーデン氏はSwiftのリアクションホイール6基や望遠鏡のレンズ、鏡を候補に挙げています。
残骸を減らす設計と再突入解析
衛星の「デザイン・フォー・デミス」は、再突入時に機体や部品が燃え尽きやすくなるよう、衛星の構造や材料を設計する考え方です。ESAの研究では、部品が熱にさらされる度合いや材質、形状を分析し、再突入後に残る部品を特定する手順が検討されました。
ESAのSentinel-1を対象にした研究では、宇宙機モデルを使って再突入をシミュレーションし、タンクやリアクションホイール、レーダーアンテナなどが残る可能性を調べました。検討された対策には、チタン製タンクをアルミニウム合金製に替える案や、リアクションホイールの設計変更、外板やアンテナを早く離脱させる仕組みが含まれます。
再突入解析ツールDRAMAは、衛星の形状や部品のつながり、材料、軌道などを入力し、大気中での分解や熱の変化、残存片の地上への分散を評価します。再突入は機体が一度に壊れる現象ではなく、部品が段階的に分かれていく過程として扱われ、設計を変えた複数の条件を比較できます。
制御の有無で異なる地上リスク
Swiftのように軌道が自然に低下して起きる制御不能の再突入では、落下地点をあらかじめ海上などに定められません。推進装置を使う制御再突入では、衛星の軌道を下げ、残骸が人口の少ない地域に向かうようにして、落下範囲を計画できます。
制御できない再突入では、地上リスクを抑えるうえで、地表まで残る破片の数や大きさが重要になります。デザイン・フォー・デミスは、部品の材料を変える、熱が当たりやすい構造にする、パネルに穴を設けるといった方法で、残存片を減らすことを目指します。
ISTI-CNRの研究は、2019年から2024年に起きた制御不能の再突入を分析し、地上の人々や航空機へのリスクがこの期間に増加したと報告しました。2024年の地上における個人の年間被害確率は10のマイナス11乗以下と推定される一方、研究は衛星活動の増加をリスク上昇の主な要因に挙げています。











