NASAのローマ宇宙望遠鏡、広視野観測装置の誤差が予測を約30%下回る
出典: science.nasa.gov

NASAのナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡は、主鏡などの光学系を微調整し、広視野観測装置の光学誤差を設計時の要求値より約30%小さくしました。18個の検出器を備えるこの装置は、予測を上回る画像品質を達成しています。今後の広域観測では、暗黒物質や暗黒エネルギーの研究に使う画像を撮影します。

光学誤差は要求値の90ナノメートルから63ナノメートルに

打ち上げ前に設定された広視野観測装置の画像品質の要求値は、光学誤差で約90ナノメートル RMS(平均二乗平方根)でした。調整後の測定値は63ナノメートル RMSで、要求値を下回りました。

光学誤差は、入ってきた光の波面が理想的な状態からどれだけずれているかを示します。90ナノメートルは人の髪の毛の太さの約1,000分の1にあたります。

NASAの光学システム担当者は、宇宙望遠鏡の観測画像は当初の予想より鮮明になると述べています。広視野観測装置は、ローマンの広域サーベイを担う主要な科学機器です。

鏡の微調整と観測機器の試験

望遠鏡の光学系は、打ち上げ前の試験や軌道上での評価で高い精度を保っていたため、必要な修正は小規模でした。チームは副鏡の高さを、人の髪の毛の直径の約16分の1に相当する距離だけ動かしました。

広視野観測装置では、18個の検出器とその電子機器、光学部品を切り替える機構、内部の較正システムを順に試験しました。較正システムのLEDは、異なる色や明るさの光を出し、検出器ごとの感度の違いを測るために使われます。

さらに、打ち上げ時に焦点を外した位置に固定されていた装置の調整機構を、焦点が合う位置へ動かし、機器の温度を保つシステムも確認しました。

コロナグラフも性能確認が進む

ローマンには、広視野観測装置のほかにコロナグラフ観測装置があります。コロナグラフは、明るい天体の光を遮り、その近くにある暗い天体を観測するための装置です。

初期の画像はわずかに焦点がずれていましたが、チームの予想ほど大きな問題ではなく、調整後は求めていた性能に達しました。今後、カメラの設定や、形を変えて光を補正する可変形鏡の最適な設定を調べます。

NASAは数週間以内に、コロナグラフが不要な光を遮る能力を試す予定です。明るい天体の近くにある暗い天体の観測に必要となる機能です。

広い範囲の画像で探る宇宙の構造

ローマンは広い範囲の空を撮影し、ハッブル宇宙望遠鏡やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が行う、特定の天体や領域を詳しく観測する研究を補います。ローマンの観測で見つかった対象を、別の望遠鏡が詳しく調べる連携も想定されています。

暗黒エネルギーの研究では、銀河の分布や動き、成長、光の曲がり方を調べ、宇宙膨張の歴史を追います。ローマンは、バリオン音響振動やIa型超新星、弱い重力レンズ効果など複数の方法を用いる計画です。

暗黒物質については、遠方銀河の見かけの形が重力でどのようにゆがむかを測定します。NASAは、ローマンが数億個の銀河にある通常の物質と暗黒物質の位置や量を調べ、宇宙の歴史を通じた銀河や銀河団の形成を追跡するとしています。