electron kickstage
出典: rocketlabcorp.com

ElectronがiQPSの衛星を軌道へ運ぶ

Rocket Labは2026年11月3日午前5時30分(ニュージーランド時間)以降に、小型ロケット「Electron」を打ち上げる予定です。日本のiQPSが開発する地球観測衛星「QPS-SAR」1機を搭載し、軌道投入を目指します。 打ち上げはRocket Labにとって通算99回目、Electronでは90回目となる見込みです。

ミッション名は「The Sea God Surveys」です。Rocket LabがiQPS向けにElectronを飛ばすのは10回目で、今回の衛星は高度575キロ、軌道傾斜角42度の低軌道に投入される計画です。

打ち上げ配信は予定時刻のおよそ30分前に始まります。Rocket Labのニュージーランドの発射場から飛び立つ予定で、時刻は米東部時間では11月2日午前11時30分以降、日本時間では同日午後4時30分以降に当たります。

SARは電波の反射から画像を作る

QPS-SARが使う合成開口レーダー(SAR)は、衛星から電波を発射し、地表などで反射して戻った信号を記録する能動型の観測装置です。 太陽光の反射を捉える光学衛星とは異なり、自ら電波を出すため、夜間にも観測できます。

SARの「合成開口」は、衛星が移動しながら短いアンテナで取得した複数の観測を組み合わせ、長いアンテナを使った場合に相当するデータを作る仕組みです。 アンテナを物理的に長くしなくても、地表の細部を区別しやすい画像を得られます。

レーダーの波長は雲に遮られにくく、SARは雲の下や夜間を含む条件で観測できます。 QPS-SARはXバンドのレーダーで、観測幅を優先するモードでは空間分解能1.8メートル、視野を絞るモードでは0.47メートルの分解能を持ちます。

36機体制で10分ごとの観測を目指す

iQPSは、QPS-SAR衛星36機を4つの軌道に配置し、各軌道に9機ずつ運用する構想です。 この体制では、地球全体で10分ごとの観測周期を実現する計画です。 今回の打ち上げは、その地球観測コンステレーションに加わる衛星を運びます。

QPS-SARは高解像度で、ほぼリアルタイムのレーダー画像を提供することを目的としています。 観測対象には土地被覆のほか、油流出、氷河、火災の範囲、地表の変化などが含まれます。 XバンドSARは、たとえば油流出域や火災の境界を捉える用途に挙げられています。

観測頻度の計画は、衛星群が36機体制になった場合のものです。 今回運ばれるのはそのうちの1機で、打ち上げ後にはキックステージが衛星を軌道へ運ぶ予定です。 Rocket Labの時系列では、打ち上げから約51分後に衛星を分離する計画です。

専用打ち上げと相乗りの違い

Electronは小型衛星向けの専用打ち上げに対応し、今回もiQPSの衛星1機を搭載します。 NASAの小型衛星に関する解説では、相乗り打ち上げは、主衛星の軌道や日程などを基準に複数の衛星を同時に運ぶ方式として説明されています。 小型衛星だけを複数搭載する相乗りもあります。

Rocket LabはElectronについて、顧客のミッションに合わせた軌道や日程の調整が可能だとしています。 同社のキックステージは、衛星を複数の軌道面や軌道傾斜角へ運ぶほか、高度を調整して分離する機能を備えています。 今回はキックステージを使い、打ち上げから約47分後にエンジンを再点火し、約51分後に衛星を分離する予定です。

一方、相乗りでは複数の顧客やミッションをまとめて打ち上げるため、衛星の統合や調整が複雑になる場合があります。 NASAは、打ち上げ事業者や統合事業者が複数ミッションの搭載調整を担う選択肢も挙げています。 専用打ち上げと相乗りのどちらを選ぶかは、衛星運用者が必要とする軌道や日程と、打ち上げ機会の条件に関わります。