
AMD Ryzen 9 9900X3D2搭載デスクトップで、CachyOS、Fedora Workstation 45、Ubuntu 26.10のCPU・システムベンチマークが実施されました。3つのディストリビューションはカーネルや標準コンパイラーの構成が異なり、その違いも結果に関係します。グラフィックス性能は比較していません。
Ryzen 9 9900X3D2で実施した比較
テスト機にはRyzen 9 9900X3D2とASRock X870E Taichiマザーボード、DDR5-6000メモリー32GB、WD_BLACK SN8100 NVMe SSDを使用しました。数十種類のCPU・システム向けベンチマークを実施し、同じデスクトップでCachyOSと2つのディストリビューションを比較しました。
Ubuntu 26.10とCachyOSはLinux 7.3カーネルを使用し、Fedora 45はLinux 7.2を採用しています。Fedora 45にはリリース後の更新としてLinux 7.3が提供される予定で、テスト時点ではカーネルの版がそろっていませんでした。
グラフィックスドライバーのMesa 26.2は3環境で共通です。Ubuntu 26.10では起動時にRadeon RX 9070 GREのAMD GPUドライバーを読み込むと画面が動作しなくなりました。画面を表示するために「nomodeset」を使ったため、グラフィックスのベンチマークは対象から外しました。
ディストリビューションごとに異なるコンパイラー
標準コンパイラーはFedora 45とCachyOSがGCC 16.2、Ubuntu 26.10がGCC 15です。GCCはプログラムを実行可能なコードへ変換するソフトウェアで、版によって生成コードが異なることがあります。
Phoronixが2026年に行った別のコンパイラーテストでは、同じハードウェアとコンパイル設定を使った場合、GCC 16で生成したバイナリーはGCC 15のものより全体として高い性能を示しました。これらはRyzen Threadripper搭載機でのテストで、今回のRyzen 9 9900X3D2上での差を示す数値ではありません。
今回の比較ではディストリビューションだけでなく、標準コンパイラーの版も異なります。CPUベンチマークの差を解釈する際は、カーネルの版とともにコンパイラーの違いも考慮する必要があります。
CachyOS標準カーネルの最適化設定
CachyOSの標準カーネル「linux-cachyos」はClangでビルドされ、ThinLTOとAutoFDOを利用します。ThinLTOはリンク時に複数のコンパイル単位をまたいで最適化する仕組みで、AutoFDOは実行時のプロファイル情報をコード生成へ反映する最適化です。
標準カーネルのタイマー周波数は1,000Hzです。x86-64-v3、x86-64-v4、AMD Zen 4向けのビルドも用意されています。さらに、BORE、EEVDF、BMQといったスケジューラーを選べるカーネルがあり、構成ごとに処理の割り当て方を変えられます。
CachyOSにはLTS版やセキュリティ強化版、サーバー向けなど複数のカーネルもあります。別の検証では、標準カーネルにClang、ThinLTO、AutoFDOを使い、LTS版やリリース候補版なども同じワークステーションで比較しました。
今回の測定条件が示す比較の範囲
今回の比較対象はCachyOS、Fedora 45、Ubuntu 26.10の各環境で、CachyOSの設定を標準的なArch Linuxと直接比べるテストではありません。











