
SpaceXは来月を目標とするStarshipの次回試験飛行で、宇宙船Starshipと第1段ブースターSuper Heavyの両方を発射塔で回収する計画です。実現すれば、軌道打ち上げ機の全段を回収する初の事例になるとイーロン・マスクCEOは述べました。マスク氏は成功を保証しておらず、次回に失敗した場合も年内に試験飛行を続ける見通しを示しています。
次回飛行で宇宙船とブースターの両方を回収へ
Starshipは、第1段のSuper Heavyブースターと第2段のStarship宇宙船で構成される二段式の打ち上げシステムです。両段は発射地点へ戻り、発射塔の機械式アームで受け止める設計です。次回飛行では、この方式で両段の回収を目指します。
これまでSpaceXは、Super Heavyの発射塔回収を3回成功させていますが、Starship宇宙船を同じ方法で回収したことはありません。宇宙船はブースターより高く、遠く、速く飛ぶため、回収の難度は高まります。マスク氏は次回の成功確率は失敗確率より高いとの見方を示す一方、確実ではないとも述べました。
成功すれば、軌道へ打ち上げる機体の全段を回収した初の例になります。SpaceXは回収した機体を点検・整備して再飛行させる構想で、マスク氏は失敗した場合も年内に飛行を続け、翌年には試験を加速すると説明しました。
Falcon 9との回収方式の違い
Falcon 9では第1段ブースターが着陸パッドや海上の船に戻る一方、第2段は使い捨てです。Starshipは第1段と第2段の両方を回収する計画で、ブースターも着陸脚で別の場所に降ろすのではなく、発射塔のアームで受け止めます。
SpaceXはStarshipの両段を発射塔へ誘導し、機械式の「箸」型アームで捕らえる設計です。
発射塔のアームによるSuper Heavyの回収では、ブースターは飛行中にStarshipから分離した後、発射塔へ戻り、アームに捕らえられました。2024年10月の試験では、打ち上げから約7分後に回収が行われ、ブースターは着地直前に3基のエンジンを燃焼させていました。同じ飛行で宇宙船は回収されず、インド洋へ着水しました。
直近の試験飛行と回収の進捗
直近のStarship飛行は、宇宙船が地球軌道に到達し、StarlinkのV3衛星26基を展開した初の飛行でした。V3はStarlink衛星の新世代型です。SpaceXはこの飛行を収益を生むミッションと位置付け、26基の展開によって、Falcon 9によるStarlink打ち上げのおよそ10倍の下り通信容量を加えたと報告しました。
その飛行では、上昇中にRaptorエンジン1基が予定より早く停止しました。SpaceXは残りのエンジンで飛行を続けましたが、予定していた10時間・6周のミッションは、約3時間、地球を2周した時点で短縮されました。Super Heavyはメキシコ湾に着水し、Starshipは軌道離脱噴射後にハワイ北方の太平洋へ着水しました。
このとき、ブースターも宇宙船も回収されませんでした。次回に両段を回収できれば、軌道飛行と衛星展開を達成した直近の飛行から、回収対象がブースターだけでなく宇宙船にも広がります。同社の第3四半期決算では、宇宙部門の売上高は17億6,700万ドル(約2,800億円)でした。
再使用に期待される費用と運用の変化
機体の再使用で打ち上げ費用を抑える考え方は、SpaceXが以前から掲げてきました。2017年、マスク氏はFalcon 9のブースターとフェアリングの再使用費用を最適化できれば、ロケット費用の約4分の3が桁違いに下がる可能性を語りました。これは当時の見通しで、Starshipの今回の回収計画で実現した費用を示すものではありません。
2019年には、マスク氏はStarshipの燃料費を1回あたり約90万ドル(約1億4,000万円)、運用費を含む費用を約200万ドル(約3億2,000万円)と見積もりました。この見積もりは、Starshipの運用を前提とした当時の予測です。Starshipは大量の貨物を運ぶ設計で、Super Heavyブースターと組み合わせて運用する構想です。
SpaceXは両段を点検・整備し、再飛行させることを目指しています。Falcon 9のブースターは着陸後に検査や整備を経て再使用されており、Starshipでは発射塔で回収して機体を発射地点へ戻す方式を採ります。









