
マスク氏の投稿がインドの政治論争に
SpaceXの衛星インターネット「Starlink」は、インドでの提供開始に至っていません。イーロン・マスク氏は、政府の法令や要件に5年間対応してきたのに開始を認められていないと主張し、通信大手Reliance Jioを率いるムケシュ・アンバニ氏に「インドを実際に動かしているのはアンバニ氏なのか」と問いかけました。
マスク氏は前日にも、インドの「寡頭勢力」が市場を独占的に支配していると投稿しました。野党指導者ラフル・ガンディー氏は、インド有数の富豪ゴータム・アダニ氏を念頭に「もう一人に会うまで待って」と応じ、マスク氏は「これは確かに憂慮すべきだ」と返しました。
CNBCによると、Jioはインド最大の通信・インターネット事業者で、Airtelと合わせて市場の約80%を占めます。Reliance IndustriesはCNBCのコメント要請に応じていません。
JioとAirtelはStarlinkとの協業に合意
Reliance Jioは2025年3月、SpaceXとStarlinkのインターネットをインドの顧客に提供するための合意を発表しました。販売にはSpaceXがインドで必要な認可を得ることが条件で、JioはStarlinkの機器を店舗とオンラインで扱い、設置や開通の支援体制も整えるとしました。
Jioは、衛星通信を既存のJioAirFiberやJioFiberを補う選択肢として位置づけ、地上回線の整備が難しい地域にも届ける構想を示しました。SpaceXのグウィン・ショットウェル社長も、インド政府の認可取得に向けてJioと取り組むと述べています。
Airtelも同年3月にSpaceXとの合意を発表しており、同社発表ではインドで最初に結ばれたStarlink関連の合意とされています。Airtelは、店舗での機器販売や法人向けサービス、学校・医療施設・地域への接続を検討し、既存の地上ネットワーク基盤をStarlinkと組み合わせる可能性も挙げました。
提供には事業者免許や衛星運用の手続きが関わる
インド通信省の2022年ガイドラインは、衛星通信サービスの形態に応じて、統一免許の衛星通信認可やVSAT認可など複数の免許・認可枠を定めています。衛星を使ったサービスは、該当する認可の範囲内で提供する仕組みです。
たとえば、衛星を使った移動通信を扱うGMPCS認可では、インド国内に衛星ゲートウェイを設置することが求められます。インド国内の端末から発着する通信は国内のゲートウェイを経由し、同ガイドラインは通信監視の設備も求めています。
周波数については、通信規制当局TRAIが2023年、宇宙通信サービス向けの割り当て方法や周波数帯をめぐる意見募集を行いました。通信省から示された検討対象には、衛星から地上への通信に使う帯域や、地上から衛星への通信に使う帯域が含まれ、地上の5G用途との共用も論点に挙がりました。
衛星回線は地上網が届きにくい地域の選択肢
低軌道衛星(LEO)は、静止軌道衛星より地球に近い軌道を回る衛星です。米議会調査局は、LEO衛星通信が遠隔地や農村部のブロードバンド整備に役立つ可能性を挙げ、光ファイバーに近い速度や低遅延を実現する可能性にも触れています。
同調査局は一方で、速度や遅延が期待どおり安定して得られるか、料金がどの水準になるかなど、未確定の点も指摘しています。地形や整備費用のため地上回線の敷設が難しい地域では、衛星通信がブロードバンドへの接続手段となる場合があるとしています。
Amazon Leoは2026年、インドの公衆Wi-FiをめぐるTRAIの意見募集に対し、光ファイバーの敷設が物理的・経済的に難しい地域では衛星回線がWi-Fiのバックホールを補えると主張しました。同社は、衛星回線なら光ファイバーのような掘削工事を待たずに展開できるとも述べています。
Amazon Leoはさらに、衛星バックホールを北東部の4,240の村落自治体(Gram Panchayat)で利用している例を挙げ、光ファイバー網の延伸が続く地域で補完手段にできると提案しました。これは同社が規制当局への意見書で示した見解と事例です。
通信市場の競争とStarlinkの位置づけ
Jioの商用サービス開始前後には、料金や事業者間の競争が注目されました。MediaNamaによると、ムケシュ・アンバニ氏は2016年、Jioの音声通話を無料とし、データ料金を1GBあたり50ルピーと発表しました。
同時期にJioは、28日間有効の0.3GBプランを149ルピーから提供すると発表しました。PTI配信の2017年報道によれば、Jioは2016年末に加入者7,216万人、市場シェア6.4%となり、Airtel、Vodafone、Ideaのシェアは前年末からそれぞれ低下しました。










