
TeamGroupが示した価格上昇と供給見通し
メモリメーカーのTeamGroupは、メモリ不足が2026年末から2027年上半期にかけてさらに深刻になるとの見通しを示しました。DDR5の契約価格は上昇し、同社の2026年第3四半期の売上高と利益も前四半期から伸びています。
TeamGroupの陳慶文CEOは、価格上昇が今後数カ月続き、IT業界で最も厳しい半導体不足は2026年第4四半期から2027年第2四半期末まで続くと予測しました。現時点では高値を払えばチップ製品を購入できますが、陳氏は、資金があっても製品を入手できなくなる可能性があると述べています。
DDR5の16Gbチップの契約価格は、2025年10月の8.70ドル(約1,400円)から2026年9月には48ドル(約7,600円)に上昇しました。DDR4の8Gbチップも値上がりしており、スポット市場では契約価格より30〜50%高い価格で取引されています。TeamGroupは契約を結んでいても必要な数量を確保できず、スポット市場で追加調達していると陳氏は話しました。
AI向けメモリと一般向け製品への波及
AIデータセンターの需要拡大は、一般向けメモリの供給にも影響しています。HBM(高帯域幅メモリ)は、DRAMチップを積層・接続したメモリで、AI処理に使われます。従来型DRAMとHBMは同じメーカーや工場で生産されるため、HBMなどAI向け製品への生産シフトが、一般向けDRAMの供給を圧迫する可能性があります。
メモリメーカーはHBMなどAI向け製品を優先しており、従来型DRAMやNANDフラッシュの供給も引き締まっています。データセンター向け需要の増加を受け、Micron、Samsung、SK Hynixは家電やPC向けの顧客よりデータセンターを優先しています。Samsungは生産能力の最大70%を長期契約に割り当てる意向を示し、韓国メーカーは顧客と5年契約を結んでいます。
HBMはDRAMの薄いチップを最大16層まで積層し、複数の接続部を通じてプロセッサーにつなぐ構造です。DRAMチップを製造するだけではHBMとして出荷できず、積層や接続を行う先端パッケージングも必要になります。そのため、AI向けメモリの増産には、DRAMの製造設備に加えてパッケージング能力の拡張も必要です。
TeamGroupの事業構成と業績
TeamGroupはメモリ、メモリーカード、SSDなどを扱う台湾メーカーで、主要なメモリチップメーカーから部品を調達しています。同社の売上に占める法人向け(B2B)の比率は、2025年1〜9月の約24%から2026年の同期間には64%へ上昇しました。一般消費者向け(B2C)の比率は、同じ期間に75%から35%へ低下しています。
陳氏は、法人向けへの移行は同社が一方的に戦略を変えた結果ではなく、需要や顧客ニーズの大きな変化に合わせたものだと説明しました。AIデータセンターなど企業向け用途がメモリ生産の多くを吸収するなか、TeamGroupの販売先も法人顧客や産業用制御分野へ移っています。
2026年第3四半期の売上高は101億3,900万台湾ドルで、前四半期比33%増でした。営業利益は45億1,100万台湾ドルへ46.8%増え、税引き後純利益は36億1,800万台湾ドルと約50%増加しました。価格上昇と法人向け需要が続くなか、同社は供給確保のためスポット市場での調達も行っています。
過去の不足局面との違い
2017〜2018年のメモリ価格上昇では、スマートフォンやPCなどの消費者向け機器の需要増加に加え、クラウド移行に伴うデータセンターの拡大がDRAM需要を押し上げました。その後、需要の一巡や設備増強による供給過剰が起き、DRAM価格は2018年第3四半期から2019年第4四半期にかけて40%下落しました。
2020〜2021年の不足局面では、クラウド顧客の需要やスマートフォン市場の回復が見込まれる一方、MicronとSK Hynixの生産制約も供給を厳しくしました。2020年12月には台湾の地震による停電でMicronの2工場が一時生産を停止し、同社は翌年のDRAM供給への影響を見込んでいました。2021年の不足見通しでは、需要の回復と個別の生産制約が主な要因として挙げられていました。
今回はAIデータセンターの急拡大でHBM需要が増え、メーカーがAI向け製品へ生産や契約を振り向ける動きがあります。CSISは、現在の不足がAI需要による構造的な変化と、設備投資に時間がかかるメモリ産業の従来の供給サイクルの両方を反映し、2027年まで続くと見ています。TeamGroupが予測する厳しい局面は2026年末から2027年上半期に重なります。









