
4秒で時速約483kmに達する競技
Top Fuel(トップ・フューエル)は、ニトロメタンを使うドラッグレースの最上位クラスです。約305mの直線コースを2台で走り、レースは約4秒で終わります。車は時速約483kmに達し、スタート後1秒足らずで時速約161kmまで加速します。
急加速の背景には燃料の性質があります。ニトロメタンはガソリンより単位重量当たりのエネルギー密度が低い一方、分子に酸素を含むため、燃焼に必要な空気が少なくて済みます。同じ量の空気を使う条件では、エンジンがガソリンより多くのニトロメタンを燃やせるため、出力を高められます。ニトロメタンを使うエンジンは、ガソリンを使うエンジンに対し最大約2.4倍の出力を生み得るとされています。
強い加速力は、ドライバーに大きな負荷をかけます。スタート直後に強いGがかかり、レース中は車をコース上に保つための細かな操作も求められます。ゴール後はブレーキだけで十分に減速できず、車の後部からパラシュートを開いて速度を落とします。
女性ドライバーが勝ち続ける欧州選手権
スウェーデン人のスザンネ・カリンは9月、サンタポッドのレース場で欧州Top Fuel選手権を連覇しました。女性ドライバーが欧州タイトルを獲得するのは4年連続で、過去9大会のうち7大会を女性が制しています。

米国ではブリタニー・フォースがNHRA(全米ホットロッド協会)の選手権で2017年と2022年に優勝しました。女性がモータースポーツ全体で占める割合は参加者の約10%、トップレベルのドライバーでは約4%とされる一方、今回の米国と欧州のTop Fuelシーズンでは出場者の約20%が女性でした。
ドラッグレースでは、女性が主要タイトルを獲得する姿が長く見られてきました。シャーリー・マルドウニーはTop Fuelのライセンスを得た最初の女性で、NHRA選手権を1977年、1980年、1982年に制しています。カリンは、自身が女性であることを理由に見下されたり、ひどい扱いを受けたりしたと感じたことはないと話しています。

身近な参加機会と長く続く競技文化
More Than Equalで最高イノベーション責任者を務めるフラン・ロングスタッフは、女性の活躍を支える要素として、女性ドライバーを継続して目にできることや、参加しやすい草の根の仕組みを挙げています。ジュニア向けプログラム、整備エリアを開く慣習、家族を中心にした協力的な文化も特徴として示しました。
参加の入口には、一般の車で走れる「トラックデー」もあります。一方、トップレベルのドラッグレースにも費用はかかりますが、F1に到達するには数百万ポンド規模の資金と高水準のスポンサー支援が必要とされ、費用の規模は同じではありません。

F1を目指す若手は、カートからF4、F3、F2へと続くカテゴリーを進みます。この経路では、上位カテゴリーへ進むにつれて競技費用が重なり、カート、F4、F3、F2それぞれに費用がかかります。ドラッグレースには一般車で参加できるトラックデーやジュニア向けの機会があるため、参加の入口と育成経路はF1を目指す場合と異なります。
復帰後のタイトルと次の目標
カリンは娘と継娘たちを育てるため10年以上競技を離れ、35歳で復帰してからキャリアが伸びたといいます。フィンランドのアニタ・マケラも、子育てと家業に取り組むため6年間休んだ後に復帰し、欧州選手権で4度優勝しました。そのうち3度は復帰後のタイトルです。

競技の厳しさと、チーム同士の協力は両立しています。カリンの車が損傷した昨年の選手権では、ライバルのユンディア・エルバッハーが予備部品を提供しました。エルバッハーは、スタートラインでは互いを敵視しても、ゴール後には助け合う関係だと話しています。
カリンは、欧州選手権で3年連続優勝した最初の人物になることを次の目標にしています。カリンは、Top Fuelで女性が勝つことは「特別なこと」ではなく、競技では日常的な光景だと話しています。











