
ULAの大型ロケット「バルカン」は、固体ロケットブースターのノズル異常による約9カ月の運休を経て、11月13日に飛行を再開する予定です。復帰初便ではAmazon Leoの衛星40基を運び、6基の固体ロケットブースターを備える構成で初めて飛行します。
打ち上げはフロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地から行う計画で、ULAは発射場の承認を待っています。Amazon Leoは衛星を使ったブロードバンド通信網で、この便は同社がULAに発注したバルカン38回の打ち上げのうち、最初のミッションです。
今回の飛行では、改良したノズルを実際の打ち上げで使用し、運用再開に向けた飛行データを得ます。ULAは改良設計を採用する一方、ミッションと並行して追加の試験と分析を続けるとしています。
ノズル異常で止まった飛行と改良設計
バルカンでは初期の4回の飛行のうち2回で固体ロケットブースターのノズルに異常が起きました。直近の事例は2026年2月の飛行です。いずれもロケットはミッションを完了しましたが、2月の異常を受けて飛行が止まりました。
ULAは2月の異常について、原因に関わる可能性のある複数の要因を特定し、ノズルの設計と製造工程を改善したと説明しています。ULAとブースター製造元のノースロップ・グラマンは、最近の異常の根本原因を公表していません。
固体ロケットモーターのノズルは、高温の燃焼ガスが接する面を設計し、必要な推進性能を得る役割を担います。ノズルの熱設計では、ライナーや断熱材を選び、燃焼による表面の侵食を抑えて構造部の温度を管理します。構造設計では、熱に関わる部材を支え、予測される荷重に耐える材料を選びます。
商業飛行のデータを確認してから軍事ミッションへ
米宇宙軍は、バルカンが国家安全保障ミッションに復帰する前に、商業ミッションの飛行データを確認する方針です。宇宙軍のエリック・ザリブニスキー准将は、地上での技術試験だけでなく、商業飛行で得られるデータも判断材料になると述べています。
国家安全保障宇宙打ち上げ計画(NSSL)は、軍や情報機関の衛星を軌道へ運ぶ打ち上げサービスを調達する制度です。対象となる衛星は通信、測位・航法、ミサイル警戒・追跡などに使われます。米国の方針では、国家安全保障用のペイロードを打ち上げられるロケットを少なくとも2種類確保することが掲げられています。
ULAとSpaceXはNSSLの認証を受けた打ち上げ事業者です。ULAはバルカン、SpaceXはFalcon 9とFalcon Heavyを運用しています。宇宙軍はバルカンの停止中、同機に割り当てていた6ミッションをSpaceXのロケットへ移し、代わりにSpaceX向けだった6ミッションを将来ULAに割り当てました。少なくとも2回のAmazon Leoミッションを飛行させた後、バルカンは次の国家安全保障ミッションへ進む見込みです。
40基の衛星に合わせた初の機体構成
復帰便のバルカンは、固体ロケットブースター6基に加え、低軌道向けに構成したセントール上段と長尺のペイロードフェアリングを採用します。フェアリングは衛星を打ち上げ時の環境から保護する機体先端部で、今回の仕様は長さ約21.3メートルです。
ロケット全体の高さは約67.4メートルで、40基の衛星をフェアリング内に搭載します。6基の固体ロケットブースターを同時に使うのは、バルカンにとって今回が初めてです。ULAはこの構成でAmazon Leoの衛星網拡張を支援します。











