SpaceX - Starshield
出典: spacex.com

WSJの報道によると、イーロン・マスク氏はウクライナ軍のStarshield通信を速度制限するよう指示しました。ウクライナのゼレンスキー大統領は、通信速度の低下でジェットエンジン搭載型のシャヘド無人機を一部迎撃できなかったと述べています。

速度制限をめぐる報道と異なる説明

米政府関係者の一部はマスク氏が単独で行動したと述べる一方、状況を知る人物は、マスク氏が速度上限を設ける前にトランプ大統領を含む政権幹部と話したとしています。

ロイターは先に、米政府関係者らの話として、ウクライナへの制限命令はホワイトハウスから出たと報じていました。トランプ大統領は10月16日、自身もマスク氏も関与していないと思うと記者団に述べています。

ゼレンスキー大統領は10月16日、Starlink自体が停止したのではなく、通信速度が低下したと説明しました。その結果、ジェット型シャヘドの一部を迎撃できず、人々を守るための手段を使えなかったと述べています。

StarshieldとStarlinkのつながり

StarshieldはSpaceXが政府や軍の用途向けに設計した通信サービスで、民間向けのStarlinkを基盤に追加の暗号機能などを備えます。Starlinkは民間・商用の高速通信を主な用途とし、SpaceXは軍事目的にはStarshieldを案内しています。

両サービスは完全に独立しているわけではありません。米宇宙軍の商用衛星通信部門は、StarshieldへのアクセスをStarlinkの衛星・ネットワーク経由で調達していると説明しており、Starlinkの障害がStarshieldにも及んだ事例があります。

米沿岸警備隊のStarshieldアンテナはStarlinkとStarshieldの両方に接続できます。同隊は、StarshieldがStarlinkの基盤を利用しながら、政府・軍向けのセキュリティーや機能を加えていると説明しています。

ウクライナ軍の通信とドローン運用

ウクライナ軍は、衛星通信を前線の通信やドローンの映像・データ伝送に使ってきました。ウクライナ国防情報局のブダノウ局長は2023年、前線全域でStarlinkが利用され、遠隔指揮所などでも通信に使われていると述べています。

ハーバード大学ケネディ行政大学院のベルファー・センターは、ウクライナ軍がStarlinkを無人偵察機や無人攻撃機の操作に活用してきたと記しています。

ブダノウ局長は、Starlinkのアンテナや通信システムがドローン伝送に使われ、とくに遠隔指揮所で役割を果たしていると説明しました。また、ロシア占領下のクリミア付近では一時、Starlinkの通信範囲がなかったとも述べています。

民間通信網に依存する軍事利用

ベルファー・センターは、民間企業が提供する通信網を紛争時の重要インフラとして使う場合、単一企業への依存が継続的な支援や利用範囲の変化に結びつくリスクを指摘しています。Starlinkのウクライナでの利用では、通信の提供範囲や軍事利用をめぐってSpaceX側の方針が変化してきました。

米民主党議員らは、11月の中間選挙で議会の主導権を得た場合、トランプ政権幹部らを調査する考えを示しています。アリゾナ州選出のルーベン・ガジェゴ上院議員は、マスク氏に召喚状を待たず自ら説明に来るよう呼びかけました。