
4隻を発注、追加8隻の選択権も
ノルウェーの海運・物流会社Wallenius Wilhelmsenは、中国のJinling Shipyard(Jiangsu)に自動車運搬船4隻を発注しました。さらに8隻を追加できる選択権を含み、すべて建造する場合の投資額は約15億ドル(約2,400億円)です。
新造船はLNGと従来燃料の両方に対応する二元燃料船で、1隻あたりの積載能力は9,900 CEUです。CEUは自動車の標準的な大きさを基準にした積載容量の単位です。
最初の4隻は2030年半ばから引き渡される予定で、追加分は選択権の行使を条件に、4隻が2031年、残る4隻が2032年に引き渡されます。
船隊更新計画は最大26隻に
今回の契約を加えると、選択権を含めた新造船計画は計26隻になります。この船隊更新は2023年に始まり、同社は自社史上最大の新造船計画と位置づけています。
新船は同社のShaper Class設計を採用します。昇降式デッキや大型ランプを備え、乗用車のほか、トラックや大型機材などの車輪付き貨物を積める構成です。
同社は既存のShaper Class計画分の引き渡しも受け始めています。今回の船は、世界規模の海運網に輸送能力を加え、顧客需要の変化に合わせた貨物構成を可能にする計画です。
9,900 CEUは大型船の部類
自動車やトラックなどを自走または台車で積み降ろす船は、RORO船と呼ばれます。そのうちPCTCは乗用車とトラックの輸送に特化した船種で、Wallenius Wilhelmsenの新船もこの分類に当たります。
世界のRORO船隊の積載容量は、2025年初頭時点で中央値が6,200 CEUでした。同時点で7,000 CEU以上の船は200隻弱とされ、9,900 CEUの新船は一般的な船より大きい規模です。
S3が挙げる運航中の最大級RORO船は10,800 CEUです。新船の9,900 CEUはその規模に近く、大型の自動車運搬船に位置づけられます。
LNG燃料とメタンスリップ
LNG二元燃料船では、エンジンの方式によってメタンの排出量が異なります。SEA-LNGは、高圧のディーゼルサイクル方式ではメタンスリップがほぼなく、低圧のオットーサイクル方式では比較的多くなると説明しています。
メタンスリップとは、燃焼しなかったメタンが排気ガスとともに大気へ出ることです。SEA-LNGによると、エンジン技術に加えて運転負荷も排出量を左右し、低負荷時には高負荷時より増える傾向があります。
SEA-LNGは、メタンスリップを考慮したライフサイクル全体の温室効果ガス排出量について、従来の船舶燃料に比べ、低圧4ストロークで6〜14%、高圧2ストロークで最大23%の削減になるとする分析を紹介しています。Wallenius Wilhelmsenが今回発注した船のエンジン方式は明らかにしていないため、これらの数値を新船にそのまま当てはめることはできません。
2030年代に向けた輸送力の確保
Wallenius Wilhelmsenの最高執行責任者Xavier Leroi氏は、2030年以降の引き渡しを含む計画は市場の長期的な基盤への自信を反映すると述べました。同社は、今後数十年にわたり顧客を支える輸送能力や柔軟性を確保する考えです。
同社は今回の契約に先立ち、同月に第三者割当増資を完了しています。新造船契約は、長期的な船隊需要に向けた投資の一環です。
新造船では、乗用車から大型機材までを扱える貨物スペースと、LNG二元燃料への対応を組み合わせます。建造がすべて実現すれば、追加の輸送力は2030年から2032年にかけて段階的に加わります。








