
サウジアラビアの海運会社バハリは、2026年7〜9月期の純利益が前年同期の約10倍となる51億リヤル(約14億ドル(約2,200億円))だったと発表しました。原油タンカー事業では運賃と傭船水準の上昇を受け、売上高が約10倍に増加しました。ホルムズ海峡周辺の紛争で運航環境が複雑化する一方、運賃上昇が同社の収益を押し上げました。
バハリの純利益は51億リヤルに増加
バハリの純利益は前年同期の5億1,300万リヤルから51億リヤルへ増えました。同社の正式名称はサウジアラビア国営海運会社です。
原油タンカー事業の売上高は、運賃と傭船水準の上昇により約10倍となりました。傭船は船舶を一定期間または航海単位で貸し出す契約で、運賃とともに船会社の収入に関わります。
一方、バハリの船舶は対象期間中に複数回攻撃を受け、乗組員2人が死亡しました。アハメド・アル・スバイ最高経営責任者は、地域紛争が「極めて複雑な運航環境」をもたらしたと述べています。
タンカー運賃を測る指標
タンカーの運賃評価には、ワールドスケールと傭船料換算(TCE)の指標が使われます。ワールドスケールは航路別の運賃水準を示す尺度で、TCEは航海収入を日額に換算した値です。
バルチック海運取引所が10月16日に更新したデータでは、超大型原油タンカー(VLCC)の中東湾岸から中国への航路指標TD3Cが37.5ポイント下がり、WS1,281.25となりました。同航路の標準船の往復航海TCEは1日あたり1,370,193ドル(約2億2,000万円)でした。
同じ週、オマーン湾から中国へのTD34は約64ポイント下落してWS776.43となり、往復航海TCEは1日あたり837,569ドル(約1億3,000万円)でした。これらは特定航路・船型の週次評価であり、バハリの個別契約の運賃を示すものではありません。
運賃上昇が収益に結び付く仕組み
スポット運賃は、その時点で新たに手配される輸送の運賃水準を反映します。バルチック海運取引所はタンカー運賃をワールドスケールとTCEの両方で公表しており、航路の運賃水準と日額換算の収益性を確認できます。
運賃が上昇すると、新たに成立する輸送契約や運賃改定の対象となる契約から得る収入が増え、輸送量や傭船水準と合わせて船会社の売上に影響します。バハリでは対象四半期に運賃と傭船水準の上昇が原油タンカー事業の売上高増加につながりました。
ただし、バルチック海運取引所が示した10月16日のVLCC指標は、その週に下落していました。バハリでは対象期間中に運賃が上昇した一方、この指標は特定の週・航路を対象としており、期間や範囲が異なります。
ホルムズ海峡の物流と運航リスク
ホルムズ海峡はペルシャ湾とオマーン湾・アラビア海を結ぶ海峡で、2025年上半期には石油輸送量が1日平均2,090万バレルでした。これは世界の海上石油貿易の約4分の1に当たります。
バハリはサウジアラムコの原油輸出拡大を支える役割を担っています。アラムコはホルムズ海峡外での洋上積み替えを通じて、主に中国の買い手へ原油を供給していました。この洋上積み替えは、サウジアラビアの東西パイプラインが9月に攻撃を受けて一時停止した後の対応でした。
湾岸地域全体の石油輸出量は戦争前に近い水準まで回復し、地域の複数の産油国が海峡経由の輸送を増やしました。









