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写真: Aerra Carnicom / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

アルバータ州では10月19日、カナダからの独立を問う住民投票そのものではなく、将来の住民投票に向けた手続きを始めるかどうかを有権者が判断します。州は世界第4位の確認埋蔵量を持つ産油地域で、原油輸出の約90%を米国に送っています。

10月19日に問われるのは独立手続きの開始

今回の投票で問われるのは、アルバータ州がカナダにとどまるか、独立に関する将来の住民投票へ向けた法的手続きを始めるかです。10月19日に州がカナダから離脱するかどうかを決める投票ではありません。

独立を支持する動きは、長く州内政治の周辺にとどまり、過去には分離派政党の得票率が1〜2%にとどまったと、元州首相のジェイソン・ケニー氏は述べています。ケニー氏は、パンデミック期の規制や2022年の「フリーダム・コンボイ」をめぐる活動が、分離派の運動を広げる契機になったと振り返りました。

州首相のダニエル・スミス氏は独立手続きの開始に反対し、州がカナダに残る立場を支持しています。一方、同氏は最近の世論調査で手続き開始への支持が約23%だったことについて、「私の好みからすれば、まだ高すぎる」と述べました。

住民発議には申請と審査の段階がある

アルバータ州の市民発議制度では、カナダ市民で18歳以上、州内居住者である有権者が発議人になれます。発議の最初の段階は州選挙管理最高責任者への意向通知で、憲法に関する住民投票案では、カナダ憲法に関係する質問を提示します。

通知が要件を満たすと、発議人には申請書を提出するための30日間が設けられます。申請には本人確認書類と手数料が必要で、現在の手数料は2万5,000カナダドル(約280万円)です。州選挙管理最高責任者は申請から7日以内に要件を審査し、認めた場合は申請内容を公表します。

申請が認められた後も、署名集めに進む前に発議案の告知を7日間掲載する段階があります。告知期間の終了後、州選挙管理局が署名用紙と署名期間、成立に必要な署名数を公表します。署名収集を担う人は登録が必要で、発議人は署名用紙の配布や収集担当者への手順説明を担います。

憲法上の適合性を裁判所に照会

州の選挙管理最高責任者は2025年7月、独立を問う住民投票案が市民発議法の要件を満たすか判断するため、裁判所に意見を求めました。照会の焦点は、提案が1982年憲法法の第1〜35.1条に反するかどうかです。

照会では、権利憲章の保障、民主的権利、移動の権利、生命・自由・身体の安全、法の下の平等、権利と自由の執行、先住民および条約上の権利が検討対象として挙げられました。州法は、憲法上の影響を持つ重要な質問を住民投票にかける仕組みを定めています。

選挙管理最高責任者は、提案の憲法適合性をめぐる質問を裁判所に付託する権限が州法で認められていると説明しています。付託は独立・中立・非党派の立場で職務を果たすためのものだとしています。州選挙管理局は州議会から独立した非党派の機関で、州選挙や住民投票の運営を担います。

米国向け原油輸出が州の独立論議に重なる

アルバータ州は原油輸出のおよそ90%を米国に送っています。カナダ全体では2025年、原油輸出の90.1%にあたる日量390万バレルが米国向けでした。同年、カナダは米国の原油輸入の63.4%を供給しており、米国にとって最大の輸入元でした。

米国エネルギー情報局(EIA)によると、米国は2024年にカナダから原油を日量平均410万バレル輸入しました。これは前年より5%多い量で、カナダは同年の米国最大の原油輸入元でした。アルバータ州の生産拠点からは、ブリティッシュコロンビア州の太平洋岸へ原油が運ばれ、米国西海岸を含む海外市場に出荷されています。

州の分離派はワシントンで米国務省関係者と3回会い、独立したアルバータ州が米国に提供できるものをまとめた文書を提示したと、運動指導者のジェフ・ラス氏が述べました。米国務省は、幅広い代表者と定期的に面会しているとしたうえで、投票はアルバータ州の人々が決めることだと述べています。連邦政府のマーク・カーニー首相はアルバータ産原油の新市場開拓を優先課題に掲げ、太平洋岸へのパイプライン案を支持しています。