1枚のプロペラで飛ぶ機体

ドローンの推力は1基のモーターとプロペラで生み出せますが、機体を安定させて操縦するには別の仕組みが必要です。一般的なヘリコプターは、メインローターの回転による反トルクを打ち消して機体の向きを制御するため、別のローターを備えています。

大きなプロペラや別の機構を使えば単一ローターの機体を飛ばせますが、機体が大型化しやすくなります。Joshua Bird氏が取り組むのは、こうした構成を小型化し、プロペラ1基で飛行するドローンです。

この機体は、高速回転に加えて、ブレードの角度を変えられるヒンジ付きのハブを使います。回転に合わせてブレードの角度を調整し、機体のピッチとロールを制御します。

回転に合わせてブレードの角度を変える

プロペラのブレードは、ハブに取り付けられたヒンジを介して動きます。ヒンジを傾けて配置することで、ブレードの前後方向の動きとピッチ角の変化が連動し、モーターのトルクを変えるとブレードの角度も変わります。

モーターには、一定の回転を保つトルクに加え、回転位置に応じて変化するトルクを与えます。この変調によりブレードのピッチが1回転ごとに変わり、ブレードが生む揚力と機体に働くモーメントを調整します。

トルク変調の振幅は制御の大きさに、回転に対する位相はピッチ・ロール方向の制御に関わります。従来のヘリコプターではスワッシュプレートが担う周期的なブレード角の変化を、機械式のスワッシュプレートや追加のピッチ制御用アクチュエーターなしで実現する方式です。

モーター制御と位置基準

この方式では、モーターの回転速度だけでなく回転位置も把握し、短い周期で制御する必要があります。一般的なESC(電子式スピードコントローラー)は逆起電力を使ってモーターを制御しますが、速度や位置を直接測定しないため、必要な調整には対応できませんでした。

最終試作機では、モーターの状態を直接測定し、独自の制御コードで回転速度を高速に調整しています。制御の実現には試行錯誤も伴い、機体が位置を見失って墜落することがありました。

位置のずれに対処するため、室内に赤外線ビーコンを設置し、機体側のセンサーで固定された位置基準を読み取ります。プロペラの角度を操る制御に加え、飛行中の位置を把握する仕組みも必要です。

プロジェクトの公開情報と次の設計

プロジェクトの公開リポジトリには、機体本体やプロペラ部品のCADデータがあり、STEP形式とFusion 360形式のファイルが含まれます。READMEにはテストスタンドやファームウェアへの参照もあります。

Hackadayは、今後の設計案として、機体にスキャナーを加え、周囲の特徴を固定位置の目印として自律的に使う方法を挙げています。実現すれば、室内の赤外線ビーコンに頼る現在の位置基準から、周囲の環境を使う方式へ移る構想です。

Hackadayは、周囲の特徴を使えば屋外でも飛べる可能性があると見ています。