Fire at the Moscow Oil Refinery on June 18, 2026 (20260618 131954)
写真: Rotafinus / CC0 / Wikimedia Commons

ウクライナが製油能力の51%停止を主張

ウクライナ国防省は、ロシア各地の製油所への攻撃により、ロシアの石油精製能力の51%が稼働できない状態になったと発表しました。対象にはモスクワ、ヤロスラブリ、ウスチルガ、ペルミ、サラトフ、シズラニの製油所が含まれます。

この割合は、ウクライナ側が攻撃を受けた精製能力を評価した数値です。ロシア政府は石油関連施設の被害データを公表していません。

プーチン大統領は10月1日、製油所への攻撃がロシアの国内総生産(GDP)に約1%の損失をもたらしたと述べました。攻撃の目的はロシア経済への打撃だったとしたうえで、「部分的には達成した」と認めています。

燃料供給と輸出への影響

国際エネルギー機関(IEA)によると、ロシアの製油所32カ所の一部は、侵攻開始以降に最大15回攻撃されました。近年は3日に1カ所の頻度で製油所が攻撃され、損傷と応急修理が繰り返されています。

攻撃は燃料から不純物を取り除く複雑な設備にも及んでいます。IEAは、こうした設備の修理に数カ月かかるとしています。また、ロシアの軽油生産量は約30%減少し、給油所では最大40時間待つ運転手も出ているとIEAは述べています。

ロシアの精製業者は、定期整備を遅らせたり、停止中の設備を再稼働させたりして供給を補おうとしています。ガソリン供給を保つため、燃料の品質基準を引き下げる対応もあり、エンジンや排ガス浄化装置への影響が懸念されています。

不純物除去装置の役割と修理

水素化処理は、水素を使って石油由来の油に含まれる硫黄化合物などを処理する方法です。1988年の特許に記された一段階処理では、油と水素を触媒層に通し、硫黄化合物の一部を硫化水素に変換します。

同特許は、触媒を上下二層に配置する方式を説明しています。上層にはニッケルやモリブデンなどを含む触媒、下層にはコバルトまたはニッケルとモリブデンを含む脱硫触媒を使い、硫黄化合物の25%超を硫化水素に変換する条件が示されています。

化学プラントの定期修理では、設備の稼働中や内部に原料・製品がある間は保全作業ができないため、停止期間を設けて点検や修理を行います。Chematelsは、定期修理を通常約2週間から2カ月にわたる全停止を伴う作業と説明し、内部の点検・修理・洗浄などを挙げています。ロシアの不純物除去設備の修理に数カ月かかるというIEAの説明は、こうした停止を伴う保全作業の長さとは別に、対象設備の複雑さを踏まえたものです。

生産調整が輸出にも波及

ロシアは従来、米国、中国に次ぐ精製燃料製品の生産国でした。製油所の損傷が続くなか、定期整備の延期や停止設備の再稼働が進められています。

ロシア政府は軽油の輸出を禁止しており、Fortuneはこの措置が世界価格を押し上げたと伝えています。トランプ米大統領は9月13日、ウクライナに製油所への攻撃をやめるよう求めました。

ウクライナのイェウヘン・フマラ国防相は、攻撃の効果について情報機関、参謀本部、国防省の分析をもとに評価したと述べました。