Archaeology Wikiのページ
出典: Archaeology Wiki

エジプトのナイルデルタにあるベヘベイト・エル・ハガルで、ラムセス2世を描いたとみられる巨像2体の断片が見つかりました。地元住民が銘文のある石を届けたことをきっかけに発掘が始まり、王の名や称号を記す遺物も出土しています。発掘は続いており、像と遺跡の関係を調べています。

地元住民の通報から始まった救出発掘

ベヘベイト・エル・ハガルの自宅前の土地で作業していた住民は、ヒエログリフの痕跡があるピンク色の石を見つけ、考古当局に知らせました。初期調査で遺物と確認された後、遺跡の記録や必要な手続きが行われ、エジプト考古当局のチームが救出発掘を始めました。

発掘では、ラムセス2世の像と特定された頭部と、同王を表すと考えられている別の像の一部が出土しました。頭部は二重冠をかぶり、上半身の背柱の一部には王のホルス名が刻まれています。

もう一方の像は脚部と台座を欠き、頭部にはファラオが着用した縞模様の頭巾「ネメス」が残っています。顔立ちは最初の像に似ており、両方がラムセス2世を表すという見方を支えています。

王の称号を刻んだ石と像の規模

最初に見つかったピンク色の花こう岩の石は長さ約1.3メートルで、2体目の像から約1メートルの場所にありました。銘文には「ネスウ・ビティ(上下エジプトの王)」と「サ・ラー(ラーの息子)」というラムセス2世の称号が含まれています。

最初の像の頭部は高さ約1.6メートルです。頭部の大きさを基にした推定では、台座を含む像全体は高さ約8.5メートルに達した可能性があります。

ラムセス2世は紀元前1279年から紀元前1213年まで統治し、カルナックやアブ・シンベルの神殿もその治世に建設されました。今回見つかった像の背柱や石の銘文には王の称号が残されており、遺跡で王がどのように表現されたかを考える手掛かりになります。

ベヘベイト・エル・ハガルの神殿跡

発見場所は、イシス神に捧げられた神殿跡で知られる村です。神殿は主にネクタネボ2世の時代に建設され、プトレマイオス2世と3世の治世に完成しました。遺跡は紀元3世紀初頭より前に崩壊したとされ、地震が原因だった可能性があります。

ラムセス2世に関係する遺物は、今回初めてこの遺跡で見つかったわけではありません。2017年の発掘では、同王の名を記した建築断片が2点見つかっています。今回の像の断片は、神殿複合施設の西側で出土しました。

別の遺跡であるアブシールでは、ラムセス2世の神殿の一部が発掘され、太陽神ラー、アメン、ネクベトに関わる浮彫も見つかっています。神殿は幅32メートル、長さ52メートルで、中庭の奥には高い位置に設けられた聖所がありました。王の称号を刻んだ浮彫も出土しており、ラムセス2世の名が建築や宗教施設に残された事例です。

発掘と遺物の調査が継続

ベヘベイト・エル・ハガルでは、考古学者が発掘を続け、出土品を調査しています。今後は2体の像の相互関係や遺跡とのつながり、もとの配置の解明が調査の焦点です。

イシス神殿に関わる花こう岩の建築部材も残されています。

像の断片、王の称号を刻んだ石、過去に見つかった建築断片を合わせて調べ、ベヘベイト・エル・ハガルにおけるラムセス2世の建築活動の位置づけを検討します。発掘チームは追加の遺物や遺跡の構造についても調査を続けています。