
コーヒーかすを炭化してコンクリートに混ぜると、実験では強度が最大30%高まりました。豪州ではこの材料を使った歩道も整備され、廃棄物と天然砂の利用を見直す取り組みが進んでいます。
コーヒーかすを炭化し、砂の代替材に
世界では年間約100億キログラムのコーヒー廃棄物が発生し、その多くが埋め立てられています。コンクリートの製造には天然砂が使われますが、川床や川岸からの採取が環境に影響を及ぼすことも課題です。
コーヒーかすをそのままコンクリートに加えると、含まれる化学物質が材料の強度を弱めます。豪州のRMIT大学の研究チームは、酸素を遮断して350度を超える温度で加熱する「熱分解」により、かすを多孔質で炭素を多く含むバイオ炭にしました。
バイオ炭はセメントの構造に結びつき、コンクリートに取り込まれます。研究では、熱分解の温度を500度にすると、350度を超える条件で作った場合よりバイオ炭の粒子が弱くなりました。
試験配合から歩道の整備へ
2024年、ビクトリア州ジスボーンでは、コーヒー由来のバイオ炭を使ったコンクリートの歩道が試験施工されました。同じ歩道には、木材チップ由来のバイオ炭を使った区間と、通常のコンクリートを使った比較区間も設けられました。
同年、パッケンハム道路改良事業の歩道にもコーヒー由来のバイオ炭コンクリートが使われました。これは同種の材料を使う大規模インフラ事業として初めての例です。施工業者は、コーヒー約14万杯分のかすを埋め立てから回避し、砂を3メートルトン超削減したと見積もっています。
2025年初め、研究チームはUniversities Australiaの表彰で「People’s Choice Problem Solver Award」を受賞しました。チームは商業化パートナーと市場投入に向けた事業計画を検討していると説明しています。
別の配合を対象にしたライフサイクル評価
RMIT大学の研究者らは、使用済みコーヒーかす由来のバイオ炭でセメントの一部を置き換える配合について、ライフサイクル評価を行いました。評価では、セメントに対する置換率を5〜15%とした場合、二酸化炭素排出量を最大23.2%削減できる結果が得られました。
同評価は、気候変動に加え、化石資源の枯渇、人への毒性、淡水生態系への毒性などを対象にしました。この評価の配合はセメントの一部を置き換えるもので、歩道の試験施工で使われたコーヒー由来バイオ炭とは条件が異なります。
強度の効果と耐久性の検証
バイオ炭を含むセメント系材料606組のデータを分析した研究では、植物由来バイオ炭のうち、米と硬材を原料としないものは、28日後の圧縮強度を3〜13%高めました。効果は原料や熱分解の条件、粒の大きさ、配合量、養生方法によって変わります。
結合材の重量に対して2.5%未満を添加すると、7日後と28日後の圧縮強度が高まる傾向が見られました。一方、砂や砂利を加えたコンクリートやモルタルでは、バイオ炭による強度への効果が弱まり、有意でなくなる場合もありました。
RMIT大学のチームは、コーヒー由来バイオ炭を使った材料について、凍結と融解の繰り返し、水の吸収、摩耗などへの耐性を調べています。試験施工に使われた材料の長期耐久性も、これらの検証を通じて評価されています。










