シンガポール海事港湾庁(MPA)は、船舶登録の審査と処理をAIで支援する新たな基盤を2027年前半に導入する計画です。標準的な登録に最大3営業日かかる現行の処理時間を数分に短縮し、申請から登録証書の発行までを一貫して扱います。

申請から登録証書の発行まで一元化

新基盤では、船主や船舶代理店が申請を提出し、審査状況を追跡できます。AIが審査と処理を支援し、処理が成功すれば登録証書を直ちに発行します。

MPAは本格導入に先立ち、今後数カ月以内に海運業界の参加者と試験運用を始める予定です。導入時期は2027年前半です。

登録国が担う安全・環境上の責任

船舶の「旗国」とは、その船が登録されている国を指します。旗国は船舶に関する安全条約と環境条約を履行する義務を負います。

登録は船の国籍に相当する情報を定めるだけでなく、登録国が安全や環境に関する条約上の責任を負う仕組みと結び付いています。そのため、登録の迅速化と、船舶や所有者の情報を確認する手続きは切り離せません。MPAは、虚偽または検証できない登録情報が提出された場合、執行措置につながり得ると船主や代理店に警告しています。

登録後の監督には、寄港国によるポート・ステート・コントロール(PSC)もあります。PSCは旗国の監督を補完し、寄港国が外国船の国際条約への適合状況を船内で確認する制度です。寄港した外国船すべてに立ち入るのではなく、過去の検査履歴などを考慮して対象船を選びます。

PSCは証書や安全・環境設備を確認

PSCでは、条約証書の有効性や船体構造に加え、救命、消防、無線、海洋汚染防止、大気汚染防止に関わる設備を確認します。航海機器、船員の資格、当直体制、船内訓練、安全管理、保安、保険証書も確認対象です。

検査で国際条約の基準を満たさない船が見つかると、基準に適合するまで改善措置が求められます。重大な不備があれば航行停止命令の対象となり、安全な航海や海洋汚染の防止、人命と船舶交通の安全確保が図られます。

不正登録への国際的な対策

IMO(国際海事機関)の法務委員会は2026年4月、船舶登録の透明性とデューデリジェンスを高め、不正登録や旗の不正使用を防ぐための指針を承認しました。指針は、登録を担う主体の管理、登録手続きの品質保証、所有者と船舶の識別確認、情報の共有などを扱います。

同委員会によると、前年の会合以降、国旗を偽って掲げる船が増え、過去1年間に529隻がある国の旗を偽って掲げたとされます。また、約40の加盟国で、犯罪グループが各国の許可や認識なしにその国の旗を不正使用した事例があったと報告されています。

拡大するシンガポール船籍

シンガポール船籍の船舶は2025年末に1億3,700万総トンとなり、前年比27%増で過去最高を記録しました。登録船は4,400隻を超え、船籍規模は世界4位でした。

上位10船籍の中で、シンガポール船籍の船隊は平均船齢が約11年と最も若いとされています。MPAはまた、2020年以降にメタノール燃料船8隻がシンガポール船籍に加わったと説明しています。

同国は11月にアンモニア二元燃料船を初めて登録する見通しです。