James May Lancaster University 2010 (cropped)
写真: Khairil Zhafri from United Kingdom / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons

最終回でアフリカを走ったスタッグを売却

ジェームズ・メイが、『グランド・ツアー』最終回で運転した1974年型トライアンフ・スタッグMKII 3.0 V8を売りに出しました。2024年9月公開の最終回「One for the Road」では、メイ、ジェレミー・クラークソン、リチャード・ハモンドの3人がジンバブエとボツワナを車で走りました。

3人が選んだのは、それぞれが以前から所有したいと思っていた車でした。メイが選んだスタッグは、最終回のアフリカ編で使われる前に一度レストアされ、番組での役割に合わせた小規模な改造も受けています。

撮影後、車はハモンドの英国の工房「The Smallest Cog」で再びレストアされました。ボディは元の色にあたるマゼンタに塗り直され、バンパーやドアハンドルなどのクローム部品も残っています。

1970年に登場した2+2のスポーツツアラー

スタッグの構想は、デザイナーのジョヴァンニ・ミケロッティがトライアンフ2000をベースに試作車を作ったことから始まりました。トライアンフがデザインを気に入り、市販モデルとして開発を進めました。

スタッグは1970年6月に登場した、前席と後席を備える2+2のスポーツツアラーです。車体の剛性を保つため、フロントガラス枠とつながるT字型のロールバーを採用し、取り外し式ハードトップも用意されました。

生産は1970年から1977年まで続き、総生産台数は25,939台でした。メイが売りに出した車は、その生産期間中の1974年型で、3.0リッターV8と4速マニュアルトランスミッションを搭載しています。

V8の評判を左右した冷却系とタイミングチェーン

スタッグのV8は、冷却系の問題や整備上の課題から、過熱やヘッドガスケットの損傷につながる弱点を抱えていました。鋳鉄製のブロックとアルミ製のシリンダーヘッドの組み合わせでは、冷却液の腐食防止剤が不十分だと内部腐食が起き、冷却効率を損なうことがあります。

冷却液の流れが悪くなったり、ウォーターポンプが故障したりすると、エンジンが過熱し、シリンダーヘッドがゆがむ場合があります。また、タイミングチェーンは摩耗して伸びやすく、適切な時期に交換しないと破損してエンジン内部を傷めるおそれがあります。

対策として専門業者が挙げるのは、冷却系の更新や適切な冷却液の使用、定期的な冷却液交換です。タイミングチェーンは約4万〜4万8,000キロごとの交換が目安とされています。

撮影時の姿を残しつつ、経年の変化もある個体

売りに出された車は50年以上前のモデルで、ジンバブエの砂漠地帯も走行しました。内装には経年による傷みがあり、ドアハンドルなど一部のクローム部品には小さな腐食が見られ、交換の余地があるとされています。

一方で、車にはMark I用のスピードメーターとBluetooth対応の現代的なステレオが取り付けられています。14インチのホイールにはハンコックのOptimoタイヤを装着しています。

エンジンは自然吸気の3.0リッターV8で、後輪を駆動します。メイはこのエンジンが「世界で最も信頼性の低いエンジンの一つ」と評されることに触れつつ、今回の車に搭載されたエンジンは完調だと述べています。