
ティアフォーとミュンヘン工科大学(TUM)は、自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」を基盤とする研究拠点を設立しました。複数年にわたり、安全性の検証や異なる環境への適用を研究し、成果を実際の移動サービスにつなげることを目指します。
3研究グループが参加する複数年の協業
新拠点の名称は「TUM Autoware Research Center by TIER IV」です。ティアフォーの研究資金を通じて設立され、TUMの自動車技術(FTM)、サイバーフィジカルシステム(CPS)、自動運転システム(AVS)の3研究グループが参加します。
協業では、自動運転の研究とオープンソースソフトウェアの開発に加え、博士課程の人材育成にも取り組みます。大学、企業、公共交通のプロジェクトを結び、技術の実演やベンチマーク課題に取り組む場としても拠点を運営する計画です。
両者が掲げる研究領域は、安全性、評価、拡張性の3つです。TUMの研究基盤とAutowareの開発・導入経験を組み合わせ、ドイツや欧州でオープンな自動運転エコシステムを広げることを目指します。
Autowareが担う自動運転の機能
Autowareは、センサー情報の取得から車両制御までを扱う自動運転ソフトウェアの枠組みです。認識、位置推定、走行計画、制御などの機能を備え、センサーや地図から得た情報を走行判断に使います。
認識機能では、カメラ画像やLiDARの点群、レーダーの検出情報、車両の位置や動きに関する情報などを入力として扱います。地図に記録されていない動的な物体や障害物、信号の状態などを認識し、その結果を走行計画側へ渡します。
Autowareは、カメラ、LiDAR、レーダーの情報を組み合わせた認識や、地図と衛星測位・慣性計測を使った位置推定にも対応します。計画機能は交差点や車線変更の判断、動的な障害物の回避を担い、制御機能は走行軌道に沿った車両の動きを制御します。
安全性を監視し、評価方法を整備
安全性の研究では、深層学習に基づく運転モデルとルールに基づく監視を組み合わせた構成を開発します。定めた安全上の制約に照らして運転行動を監視し、必要に応じて介入する「セーフティ・ガーディアン」を設ける計画です。
評価では、個々のソフトウェア部品からシステム全体までを対象に、シミュレーション、オフライン解析、実環境での運用を通じて試験・検証する枠組みを作ります。TUMの自動運転研究車両EDGARと、シナリオベースの検証に関するCommonRoadの知見を活用します。
Autowareの認識機能が受け取るデータには、レンズ歪みを補正した画像と未補正の画像、複数のLiDARから得た点群、レーダー物体情報などがあります。出力には、物体の種類や形状を含む動的物体の情報、障害物、占有格子地図、信号の色や矢印の情報が含まれます。
新しい環境への適用を目指す
拡張性の研究では、Autowareを新しい環境に適用して評価するための再現可能な手順を整えます。改善内容は、適切な場合にオープンソースのプロジェクトへ反映する方針です。
TUMの研究車両EDGARはAutowareを使っており、2025年のIAA MOBILITYでは都市部、郊外、高速道路の環境で一般向けの試乗を実施しました。また、TUMのチームは1週間以内にベルリンでEDGARを展開し、市街地での自動運転を実演しました。
協業では、研究成果を現実の移動用途へ移すことや、欧州の自動車メーカーが自動運転システムを開発する際に使える技術・評価方法を提供することも目標にしています。











