騙される30秒前 田守 千尋(42)市役所職員のキービジュアル
出典: fake-police.com

3人のスマートフォンから詐欺の電話を体験

無料のブラウザーゲーム「騙される30秒前」が10月28日に公開されました。架空の人物のスマートフォンを操作し、警察官を名乗る詐欺の電話から送金までを体験できます。スマートフォン、タブレット、PCに対応し、会員登録やアプリのインストールは不要です。

プレイヤーは高校生、社会人、高齢者の3人から1人を選び、着信の3分前から端末を操作します。メッセージや写真、アプリを見た後、電話がかかってきてからの展開を見届けます。体験時間は主人公によって約7〜11分で、終了後には振り返りもあります。

端末にはメッセージアプリや銀行アプリを模した架空のアプリがあり、ロック画面や通知、アプリの切り替えも操作できます。ゲームでは、「0110」で終わる国際番号からの着信、偽の警察手帳や逮捕状を見せるビデオ通話、送金までの流れが描かれます。登場人物や団体は架空ですが、手口と会話は実際に確認された事例をもとに再構成されています。

2025年は被害額が特殊詐欺全体の約7割

ニセ警察詐欺では、警察官や検察官を名乗り、「逮捕される」「口座が犯罪に使われている」などと告げて不安をあおり、捜査への協力や財産の保全を口実に金銭を送らせます。2025年の認知件数は1万1,014件、被害額は1,005億円で、特殊詐欺全体の被害額1,423.1億円の70.6%を占めました。

1件あたりの既遂被害額は922.5万円で、ニセ警察詐欺以外の特殊詐欺の256.7万円を上回りました。被害者は高齢者に限らず、2025年の認知件数は30代が2,239件で最多、20代が1,718件で続きました。

2026年1〜8月の暫定値は6,346件、被害額728.6億円です。前年同期比で件数は4.1%減った一方、被害額は27.0%増え、前年を上回るペースです。

警察を名乗る電話で求められる対応

警視庁は、警察官を名乗る電話でSNSやビデオ通話に誘導し、資産状況を尋ねたり、警察手帳や逮捕状を見せたりする手口を案内しています。その後、「資産を保護する」「口座を調査する」として振り込みを求めるケースがあり、インターネットバンキングや暗号資産取引口座が使われることもあります。

警察庁によると、警察がSNSで連絡したり、警察手帳や逮捕状の画像を送ったり、ウェブサイトに氏名入りの逮捕状を掲載したりすることはありません。また、一般の人に現金の出金やスマートフォンの契約を求めることもないと案内しています。

捜査対象だと電話で告げられた場合、警察庁は電話を切り、警察相談専用電話「#9110」に相談するよう呼びかけています。それ以外の場合も、相手の所属や名前を確認していったん電話を切り、自分で調べた警察署の番号などに相談する方法を案内しています。警視庁も、相手の説明をうのみにせず、家族や知人に相談してから警察署へ連絡するよう案内しています。

詐欺対策ゲームを調べた研究

詐欺の手口をゲームで体験する方法を調べた研究が海外で行われています。ウガンダでは、対話型音声応答(IVR)を使った物語形式のゲームを、利用者27,165人に無作為に割り当てて評価しました。ゲームに参加した10,656人のうち、93%が2段階を完了し、半数以上が再プレイしました。

この介入では、金銭被害を伴う詐欺の被害率が全体で1.4ポイント低下しました。女性では被害率が8.3%から2.6ポイント低下しました。詐欺の報告は12.4ポイント増えて35.6%となり、正式な救済を求める行動も6%増えたと報告されています。対象はウガンダのデジタル金融サービス利用者で、電話やSMSを介した詐欺への対策を扱った研究です。

インドでは、オンライン詐欺を題材にしたモバイルゲーム「ShieldUp!」を3,000人で評価する無作為化比較試験が行われました。参加者はゲーム、詐欺対策の動画と助言、無関係なゲームの3群に分けられ、詐欺を見分ける力を介入前、直後、21日後に測定しました。

研究報告によると、ゲームをした人の詐欺識別能力は比較対象の2群より有意に向上し、21日後にも効果が保たれました。介入直後に見られた、本物のオンライン取引まで疑いやすくなる傾向は21日後には消えたと報告されています。これらの研究は別の国・ゲームを対象にしており、「騙される30秒前」自体の効果を測定したものではありません。