ポリエチレンの微粒子への曝露が、マウスの肝臓で脂肪肝に関連する変化を促し、高脂肪の食事と組み合わさると肝障害の指標がさらに悪化したと、研究チームが報告しました。肝臓の脂肪代謝に関わるタンパク質PPARαと、組織修復に関わる遺伝子ANXA2も、変化に関係する候補として挙がっています。
ポリエチレン曝露で脂肪肝の指標が上昇
テキサスA&M大学とオクラホマ大学などの研究チームは、ポリエチレン微粒子が肝臓に及ぼす影響を調べました。ポリエチレンは食品包装や保存容器などに使われるプラスチックで、世界のプラスチック生産のおよそ3分の1を占めるとされています。
実験では、ポリエチレンに曝露したマウスで、脂肪肝に関連する指標が上昇しました。高脂肪・高果糖・高コレステロールの食事を与えた場合は、微粒子曝露と食事が重なり、肝臓の変化がより強くなりました。
オクラホマ大学によると、マウスには同量の微粒子を8週間与え、標準食の群と、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)を模した食事の群を比べました。高脂肪食を与えられた曝露群では、標準食を与えられた曝露群と比べ、肝障害を示す血中マーカーが2倍を超えました。
食事との組み合わせで肝障害が強まる
脂肪肝は、肝臓の細胞に過剰な脂肪が蓄積する状態です。米国肝臓財団は、世界の約25%の人に影響すると推計しています。
今回の実験では、ポリエチレン曝露だけでも脂肪肝の指標が上がり、食事条件が重なると変化が強まりました。研究チームは、環境中の微粒子と食事の要因が同時に存在すると、肝臓への影響が増す可能性を示す結果と位置づけています。
オクラホマ大学は、同じ影響が人にも起きるかを明らかにするには、さらなる研究が必要だとしています。
PPARαと組織修復の経路を解析
研究チームは、空間トランスクリプトミクスという手法を使い、組織の構造を保ったまま、肝臓のどの場所で遺伝子の働きが変化したかを調べました。損傷が見られる領域を特定し、ポリエチレン曝露に対する肝臓の反応に関わる分子経路を解析しました。
その結果、脂肪代謝を調節するタンパク質PPARαの活性化と、組織修復に関わるANXA2遺伝子が、肝臓の反応に関わる候補として見つかりました。研究チームは、これらが肝臓の防御や修復の仕組みに関係する可能性を示しています。
PPARαの通常の働きを調べた別の研究では、人の肝臓の薄切組織にこのタンパク質を活性化する薬剤を作用させ、遺伝子発現を測定しました。PPARαは人の肝臓でも発現し、脂質代謝に関わる複数の遺伝子の働きを調整していました。活性化後には617遺伝子の発現が増え、665遺伝子の発現が減りました。発現が減った遺伝子には、免疫や炎症に関係するものが多く含まれていました。
次は線維化や他の微小プラスチックを検討
テキサスA&M大学の研究チームは、ポリエチレン曝露が肝臓の線維化に関与するかを調べる計画です。線維化は、肝臓の損傷が繰り返されたり続いたりすることで瘢痕組織が蓄積する状態です。
チームは、PPARαの経路を標的にすることで肝臓を保護できるかも検討するとしています。今回特定した分子経路が、今後の研究で検証する対象になります。
研究チームは、ポリエチレン以外の微小プラスチックについても肝臓への影響を調べる必要があると述べています。











