2023 Oliwa z oliwek Iliada (1)
写真: Jacek Halicki / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

オリーブ油を先に与えたマウスで血糖上昇が小さく

京都大学などの国際研究チームは、マウスにブドウ糖を与える前にオリーブ油を摂取させると、摂取後の血糖値の初期上昇が小さくなると報告しました。オリーブ油を先に与えた場合、後から与えた場合に比べて胃から腸へ内容物が移る速度も遅くなりました。

実験では、絶食させたマウスを、水の後にブドウ糖を与える群、オリーブ油の15分後にブドウ糖を与える群、ブドウ糖の15分後にオリーブ油を与える群に分けました。研究チームは血糖値のほか、インスリン、グルカゴン、GIP、GLP-1などのホルモンを測定しました。

胃排出の速さは、鎮痛薬のアセトアミノフェンを口から投与し、血中に現れる量を調べて推定しました。さらに、2型糖尿病のマウスやGLP-1受容体を欠くマウスでも実験し、油脂を取る順番による血糖値やホルモンの反応を比較しました。

胃排出の遅れと複数のホルモンが関与

オリーブ油をブドウ糖より先に摂取したマウスでは、グルカゴン、GIP、GLP-1の早期分泌も増えました。GIPとGLP-1は、食後の血糖調節に関わるインクレチンと呼ばれるホルモンです。

グルカゴンは一般に、肝臓から貯蔵されたブドウ糖を放出させ、血糖値を上げる働きがあります。今回の実験では、グルカゴンの働きだけを抑えても、オリーブ油を先に与えた際の血糖上昇抑制はなくなりませんでした。GLP-1の働きだけを抑えた場合も同様でした。

一方、グルカゴンとGLP-1の両方の働きを抑えると、血糖上昇を抑える効果は弱まりました。研究チームは、両ホルモンが一部重なりながら反応に関与すると説明しています。また、横隔膜より下の迷走神経を切断した実験から、脳と消化器を結ぶ神経経路も反応に関わることが示唆されました。

糖尿病のマウスでも反応を確認

研究チームは、2型糖尿病があり、インスリンが著しく不足しているマウスでも、油脂を先に摂取した場合の血糖値、胃排出、ホルモンの反応が保たれることを観察しました。これはマウスでの結果です。

米国糖尿病学会(ADA)の2023年の指針は、妊娠していない成人の目標例として、HbA1c(過去の血糖状態を反映する指標)7%未満、食前血糖値80〜130 mg/dL、食後血糖値のピーク180 mg/dL未満を挙げています。食後血糖値は食事開始から1〜2時間後に測定する目安です。

同指針では、HbA1c、食前血糖、食後血糖を異なる指標として扱い、食後血糖にも目標値を設けています。今回のマウス実験は食事の順番による食後反応を調べたもので、人がADAの目標値を達成できるかを検証したものではありません。研究チームは、人での効果を評価する臨床研究が必要だとしています。

人での食事順序の検証が今後の課題

研究チームを率いた京都大学の矢部大介氏は、食事の順番を変える方法は、特定の食品群を避けずに食べ方を調整するアプローチだと述べています。今回の研究では、油脂を先に取ったときの生理的な反応をマウスで調べました。食事順序の変更が人の血糖管理に役立つかどうかは、臨床研究で検証する必要があると矢部氏は述べています。

実験ではオリーブ油のほか、別の食用油脂でも反応を調べ、結果がオリーブ油だけに限られるかを検討しました。