
2027年型メルセデス・ベンツ「CLA 350 Electric」は、シリコン酸化物と黒鉛を組み合わせた負極を使う新世代バッテリーを搭載し、急速充電では充電率80%まで20分でした。試乗では高速道路を中心に走行した際の電費から、満充電で約575km走れると試算されました。操作系や後席の広さには課題も残ります。
新世代バッテリーが支える航続距離と充電
バッテリーの使用可能容量は85kWhです。新しい電池セルによってエネルギー密度が20%高まり、コバルト使用量も減ったとメルセデスは説明しています。後輪駆動のCLA 250はEPA推定航続距離が約602km、四輪駆動のCLA 350は約502kmです。
CLA 350の試乗では、主に高速道路を走り、スポーツモードを使った条件で、電費は1kWhあたり約6.8kmでした。試乗者はこの値と85kWhの容量から、満充電時の走行距離を約575kmと試算しています。正式な航続距離試験ではなく、実走行の記録に基づく計算です。
ニュージャージー州の出力400kWの充電器を使った試験では、充電率16%から80%まで20分、90%まで26分かかりました。充電開始後、最大出力は280kWに達し、80%までに充電器の表示上で約409km分の航続距離が加わりました。
シリコン系負極の利点と耐久性の課題
シリコンは黒鉛より高いエネルギー密度を狙える負極材料ですが、充放電に伴う体積変化が大きく、粒子の破砕や電気的な接触の喪失、電池容量の低下につながることがあります。そのため、シリコンを黒鉛に加える技術では、エネルギー密度だけでなく、繰り返し充放電した際の劣化も課題になります。
Nature Communicationsに掲載された研究では、シリコンと黒鉛を混ぜた負極を持つ電池で、充放電中にリチウムイオンが両材料間を移動し、シリコン側に蓄積する現象が報告されました。研究チームはシリコン粒子の大きさや黒鉛の硬さを調整し、電極の設計によってイオンの移動を制御する方法を調べています。
別の研究では、シリコン粒子のひび割れや、ひび割れた部分での固体電解質界面(SEI)の成長、活物質の損失を劣化要因として扱う物理モデルが開発されました。このモデルは、充放電や保管の条件によって劣化の進み方が変わる仕組みを分析します。メルセデスは、CLAのセルでこれらの劣化をどう抑えているか公表していません。
走りは滑らか、充電性能も高い
CLA 350は前後2基のモーターを備え、出力は349馬力、最大トルクは約515Nmです。0から約97km/hまでの加速時間は4.8秒とされています。2速トランスミッションを採用していますが、試乗者は変速をほとんど意識せず、走行を滑らかに感じたと評価しました。
回生ブレーキは、惰性走行、通常、インテリジェント、強の4段階です。強ではアクセル操作だけで減速・停止するワンペダル走行ができます。試乗者はコーナーでの安定性やステアリングの反応を評価する一方、連続する路面の凹凸では乗り心地が落ち着かない場面があったと述べています。
試乗車には、車線中央維持、アダプティブクルーズコントロール、自動車線変更を含む運転支援機能が搭載されていました。試乗者によると、自動車線変更が近くを走る車の前に進もうとした場面が複数回あり、機能を無効にして方向指示器で手動操作する方法に切り替えました。高度な運転支援機能「MB.Drive Assist Pro」は試乗車では有効になっていませんでした。
大型ディスプレイと操作性、後席に残る不満
オプションのMBUX Superscreenは、14インチの中央ディスプレイと助手席ディスプレイ、10.25インチのメーター画面で構成されます。中央画面にはEV向けの充電計画を含むナビゲーションや、動画配信、ブラウザーなどの機能があります。画面の反応はおおむね良好でしたが、試乗中に動きが一時的に途切れることもありました。
ステアリングには曲送り専用スイッチがなく、曲を変えるにはタッチ画面か音声操作が必要です。運転席ドアの窓スイッチは前後窓の切り替え式で、試乗者は操作の煩雑さを指摘しました。Superscreenは約6,000ドル(約95万円)の「Pinnacle」パッケージに含まれ、試乗車のオプション込み価格は67,155ドル(約1,100万円)でした。
後席は窮屈で、背の高い乗員には余裕が少ないと試乗者は評価しています。試乗者は乗り心地や走行性能、充電の速さを評価する一方、ソフトウェアや室内の操作性には改善の余地があると感じました。










