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英国の約97万7,000人を追跡した調査で、飲み物を「非常に熱い」と感じる温度で飲む人は、「温かい」と感じる人より食道扁平上皮がんの相対リスクが約3.17倍でした。飲み物の温度と摂取頻度の両方に関連が見られましたが、食道腺がんでは温度との関連は見られませんでした。

約97万7,000人を対象にした英国の追跡調査

研究チームは、英国の大規模コホート「Million Women Study」と「UK Biobank」のデータを統合し、計977,282人を分析しました。コホートとは、同じ集団を一定期間追跡して健康状態などを調べる研究方法です。

参加者は、紅茶やコーヒーを飲む頻度と、好みの温度を「非常に熱い」「熱い」「温かい」などの区分から回答しました。研究チームは、回答された温度区分と飲む頻度を、食道がんの発生との関係で分析しました。

平均追跡期間はMillion Women Studyで14.2年、UK Biobankで11.1年でした。追跡中に食道がんと診断された人は2,348人で、内訳は扁平上皮がん1,045人、腺がん1,303人でした。

「非常に熱い」飲み物と扁平上皮がんの関連

飲む頻度を考慮した分析では、飲み物を「非常に熱い」と回答した人の食道扁平上皮がんリスクは、「温かい」と回答した人の3.17倍でした。95%信頼区間は2.49〜4.03です。

「熱い」と回答した人も、「温かい」と回答した人に比べてリスクが69%高い結果でした。回答者の好みの温度区分とがん発生との統計的な関連を示す結果です。

一方、食道腺がんでは、「非常に熱い」飲み物と「温かい」飲み物の比較で明確な関連は見られませんでした。推定相対リスクは0.92で、95%信頼区間は0.76〜1.12でした。温度との関連は、食道がんの種類によって異なりました。

飲む頻度にも関連、温度は実測せず

飲み物の温度を考慮した分析では、紅茶やコーヒーなどの熱い飲み物を1日6杯以上飲む人は、6杯未満の人に比べて食道扁平上皮がんのリスクが71%高い結果でした。相対リスクは1.71で、95%信頼区間は1.51〜1.94でした。

飲む頻度との関連は、食道腺がんでは扁平上皮がんほど強くありませんでした。紅茶が中心の人とコーヒーが中心の人で、温度との関連に大きな違いは見られず、Million Women Studyで記録された牛乳の追加も温度との関連を大きく変えませんでした。

研究では飲み物の温度を摂氏で測定せず、参加者が申告した好みの区分を分析に使いました。「非常に熱い」の実際の温度は、個人ごとに測定されていません。英国で一般的な熱い飲み物の温度は約60°Cと推定されていますが、研究で測定した値ではありません。

IARCの分類と研究チームの推計

国際がん研究機関(IARC)は2016年、65°Cを超える飲み物を「おそらく発がん性がある」と分類しました。この評価は、人を対象にした疫学研究で食道がんとの正の関連が見られたものの、証拠が限定的だったことなどに基づいています。動物実験にも、非常に熱い水の発がん性を示す限定的な証拠がありました。

IARCの分類は、発がん性に関する科学的証拠の程度を示すもので、個人の発症確率や、何杯飲めば発症するかを示すものではありません。また、IARCはコーヒー飲用そのものについて、人で発がん性を分類するだけの証拠がないとしてGroup 3に分類しました。

研究チームは、観察された関連が因果関係を反映するとの仮定に基づき、「非常に熱い」飲み物を好む人が「熱い」区分に移った場合、英国の食道扁平上皮がんの14%を防げる可能性があると推計しました。英国の発生率に基づく推計では、年間440件に相当します。この推計は研究チームが置いた仮定に基づく集団レベルの数値です。