
スプートニク2号で地球を周回したライカ
1957年11月3日、ソ連は犬のライカを乗せたスプートニク2号を打ち上げました。ライカは地球周回軌道に到達した最初の動物となりました。 その一方、機体には地球へ戻す仕組みがなく、飛行は片道でした。
ライカはモスクワの路上で保護された雑種犬で、打ち上げ時は3歳でした。小柄で落ち着いた気質を理由に宇宙計画に選ばれ、訓練を受けました。 ソ連は先行する犬の飛行実験で、動物をロケットに乗せて宇宙へ送り、回収する試みも行っていました。
スプートニク2号では、ライカは軌道に到達した後、機内の熱が上がって死亡しました。 NASAの歴史資料は、ライカが数時間後に死亡したと記録しています。 地球周回には成功したものの、機体と乗員を地上へ戻す工程は計画に含まれていませんでした。
動物飛行から有人飛行へ進んだ試験
初期の動物飛行では、宇宙飛行が生物に及ぼす影響を調べるとともに、生きた動物を宇宙へ送り、帰還させられるかが試されました。 米国は1948年にサルを乗せた飛行を始め、ソ連は1951年ごろから犬を使った飛行試験を進めました。 こうした実験は、有人飛行に向けた段階的な試験の一部でした。
ソ連の初期の犬の飛行は、地球を周回する軌道飛行ではなく、ロケットで高度を上げてから戻る弾道飛行でした。1951年には犬2匹が高度100キロメートルに達し、回収されています。 ライカの飛行は、動物を地球周回軌道へ送る段階に進んだものでした。
米国も動物の回収を伴う試験を続け、1961年にはチンパンジーのハムをマーキュリー宇宙船に乗せました。ハムの飛行は地球周回ではなく、約16分半の弾道飛行でした。 ライカの軌道飛行とは、飛行経路の段階が異なります。
ハムの飛行では着水後の回収も課題に
ハムを乗せた機体は予定より速度が出たため、着水地点が目標から209キロメートル先にずれました。最寄りの回収船からも97キロメートル離れた海域に着水しました。 飛行後にカプセルを回収する過程も、ミッションの重要な一部になりました。
ハムはカプセル内で約3時間、回収を待ちました。その間に機体は転覆して浸水し、回収された時点で約360キログラムの水が入っていました。 ヘリコプターがカプセルごとハムを引き上げ、ハムは生還しました。
NASAの歴史資料によると、ハムはマーキュリー・レッドストーン2号で飛行しました。 米海軍の記録では、着水後の回収に時間がかかり、カプセルの浸水も起きています。 ライカの飛行には帰還の工程がなかったのに対し、ハムの飛行では着水後にカプセルと動物を回収する計画が実行されました。
軌道到達と生還を別々の段階で検証
ライカの飛行は、動物を地球周回軌道に乗せる一方で、地上へ帰還させない計画でした。 ハムの飛行は弾道飛行で、着水後にカプセルを回収して生還しました。 2つの飛行は、軌道到達と帰還・回収という異なる課題を示しています。
米国ではハムの飛行後も、有人宇宙飛行を見据えた試験が続きました。NASAの資料は、1961年にアラン・シェパードがマーキュリー宇宙船で弾道飛行を行ったことを記録しています。 同年11月にはチンパンジーのエノスが地球を周回し、翌年2月にはジョン・グレンが米国人初の地球周回飛行を行いました。
動物を使った飛行試験は、地球周回の実証と、帰還・回収の検証を含む複数の段階を経ていました。 ライカの飛行は周回軌道への到達を実現しましたが、帰還は計画されていませんでした。 ハムは弾道飛行後に回収され、エノスの周回飛行を経て、有人の地球周回飛行へとつながりました。









