
八女市で定着状況を確認
福岡県八女市黒木町の井手田・椿原地区で、生産者とJAふくおか八女が水田畦畔にセンチピードグラスを導入しています。定着した畦畔では草刈りが春と秋の年2回となり、夏場の作業を省ける見込みです。
地区では2024年7月から種子の吹き付けに向けた準備を進め、2025年6月に施工しました。10月上旬の現地見学会には、生産者やJA職員ら約40人が参加し、生育と定着の状況を確認しました。
施工を担当しただるま製紙所の高瀬成士さんが施工概要と管理方法を伝え、地区代表の牛島年文さんは施工までの経緯や効果、現状を報告しました。参加者は畦畔を巡回し、他地区の生産者やJA担当者と意見を交わしました。
地面を覆う芝が雑草を抑制
センチピードグラスは、地面を横に伸びるほふく茎(ランナー)で広がる芝草です。ランナーが放射状に伸び、密な芝生が地面を覆うことで雑草を抑えます。
ランナーが地表を覆うと雑草の種子が土に届きにくくなり、葉や根に含まれる物質も雑草の生育を抑える要因です。
兵庫県の実証調査では、センチピードグラスが法面を覆うと年間の草刈り回数を1〜2回程度に減らせるとしています。八女市の光延浩喜さんも、今年は夏場の草刈りが不要になったと話しました。
定着前は雑草管理が必要
センチピードグラスは初期生育が緩やかで、地面を覆うまで雑草との競合に弱い性質があります。被覆が完成するまで雑草を管理し、定着後も伸びた芝を刈り込む必要があります。
ピット苗は30センチ間隔の千鳥配置で植えます。種子から育てる場合は、春の露地育苗で約60日、夏場で約45日が目安で、発芽には10〜14日程度かかります。
中間・暖地の播種期は4月中旬〜7月、畦畔用の播種量は1平方メートル当たり5〜10グラムです。播種後は5〜10ミリほど覆土して鎮圧し、定着するまでは雑草と一緒に刈り込む管理が必要です。
導入時の作業とその後の管理
センチピードグラスを導入しても、草刈りの負担がなくなるまで施工と初期管理が必要です。兵庫県は梅雨入り前半の定植を推奨し、定植後は十分に散水するよう示しています。
別地域では、地被植物が繁茂するまで資材費と管理が必要で、定着後はおおむね年1回の刈り込みで済みます。富山県の農事組合法人ふながわは、約50ヘクタール分の畦畔をセンチピードグラスで覆っています。
島根県出雲市では、防草シートと苗を組み合わせる方式の施工面積が約2,700平方メートルに広がりました。利用者は、施工に一般的な防草シートより約1.5倍の時間と労力がかかった一方、施工前は年6回程度だった除草作業が不要になったと話しています。
地区で普及に向けた支援を継続
八女市の見学会では、定植した畦畔を実際に巡り、生育と定着の状態を確かめました。施工を担った会社から管理方法を聞く機会も設け、地区内外の関係者が意見交換しました。
光延さんはセンチピードグラスの定着は良好だと述べ、今後も管理作業を支援しながら普及に取り組む考えを示しました。生産者の作業負担を減らす活動として、JA担当者と地区の生産者が連携を続けます。










