実証運航に使用されるA2Z製自動運転車両“ROii
出典: kanematsu.co.jp

豊岡市の実証に3社が参画

兼松、損害保険ジャパン、韓国の自動運転技術企業Autonomous a2z Corporation(A2Z)は、日本の地域公共交通で自動運転移動サービスの社会実装を進めるため、包括的な協業を始めます。最初の取り組みとして、兼松が受託事業者に選ばれた兵庫県豊岡市の自動運転バス実証運行事業に、損保ジャパンとA2Zが加わります。

実証運行の場所は城崎温泉街です。3社はここで、安心・安全な運行体制と、車両の導入からリスク管理、保険補償までを組み合わせたソリューションを検証します。

協業の背景には、人口減少や少子高齢化に伴う運転手不足があり、路線バスの減便や廃止によって地域の移動手段が限られる「交通空白」が課題になっています。観光地では、観光客の周遊と住民の日常的な移動の両方を支える交通手段が求められています。

車両・リスク管理・保険を組み合わせる

兼松は豊岡市の事業を受託し、A2Zは自動運転技術と車両開発の知見を持ち寄ります。損保ジャパンは、自動運転車両の導入や社会実装を支援する「SOMPO ALCS」を展開しており、リスクマネジメントや専用保険を提供しています。

今回の検証では、各社の知見や機能を組み合わせて運行体制を構築します。車両を走らせる技術に加え、運行時のリスク管理や保険補償も含めて検討する点が、協業の具体的な内容です。

兼松は2025年8月にA2Zと覚書を締結し、日本各地で自動運転移動サービスの実証や導入に向けた取り組みを進めてきました。今回の豊岡市での実証は、損保ジャパンも加わる3社協業の最初の具体的な事業です。

周囲の検知と遠隔監視を組み合わせる

自動運転バスの安全運行では、車両が周囲の状況を捉える仕組みと、運行状況を確認する体制が関わります。四日市市で2026年に行われた別の実証では、信号制御機から得る信号情報と車載カメラの認識結果を使い、バスが交差点を通行できるか自動で判断する検証が行われました。

同じ四日市市の実証では、後方から近づく一般車両を検知して、乗降場から本線へ合流する検証も実施されました。夜間走行の安全性も検証項目に含まれています。

遠隔運行管理システムでは、車両の位置や車内外のカメラ映像、車速、ステアリング、バッテリー残量などをまとめて確認できます。四日市市の実証では、こうした情報を使う遠隔監視や運行管理も検証対象となりました。

地域交通への実装に向けた検証

豊岡市での実証では、城崎温泉街を舞台に、運行体制と車両導入・リスク管理・保険補償を組み合わせた仕組みを検証します。四日市市の実証で行われた信号判断や遠隔監視の検証は、地域で自動運転バスを運用する際に検討される技術・運用面の例です。

損保ジャパンは次世代モビリティの総合ソリューション「SOMPO MobineX」のもとで、車両の導入や社会実装を支援しています。今回の協業では、保険補償まで含めた支援の仕組みを豊岡市の実証で検証します。

3社は、地域公共交通の維持・改善と自動運転移動サービスの早期社会実装を目指しています。城崎温泉街での実証を通じて、観光客の移動と住民の日常の足を支える運行体制を検討します。