
砂の粒を微生物由来の繊維で結びつけ、水の抜け方を変える方法が実験室で試されました。砂の中で繊維を育てる方法では水の損失が約6分の1になり、別に育てたセルロースの薄いシートを挟む方法では透水性が約28分の1になりました。
砂の中で育てた繊維が粒をつなぐ
研究では、セルロースを作る細菌 Komagataeibacter medellinensis と、菌類 Schizophyllum commune の2株を砂に加えました。セルロースは植物の細胞壁を支える成分で、一部の細菌も細い繊維として作ります。
砂はアラブ首長国連邦アルアイン近郊の砂丘から採取したものと、強度試験用の標準砂を使いました。微生物と栄養液を加えた試料を顕微鏡で調べると、繊維が砂粒の表面に付着し、隣り合う粒をつないでいました。
細菌を使った試料は、菌類を使った試料より強く固まりました。細菌を加えてから7日以内に、高さ約6センチの砂柱を型から外して切り分けられ、切片は水に入れても形を保ちました。菌類の試料も粒を結びつけましたが、型から外すときや乾燥後に切るときに崩れるものがありました。
透水性は方法によって異なる
砂の中で繊維を育てた試料では、砂を詰めた管に水を注ぎ、底から排出される速さを測りました。未処理の砂と比べて透水性は約6分の1となり、試料が保持できる水の割合は約20.2%から約25.5%へ上がりました。
別の方法では、細菌が作るセルロースの薄いシートを砂の層の間に挟みました。シートを入れた試料の透水性は未処理の砂の約28分の1で、シートを長く育てた試料ほど強度が高くなる傾向も見られました。
10キログラムの荷重を使った実演では、未処理の砂の立方体は、セルロースシートで補強したものより大きく崩れました。砂の中で繊維を育てる方法と、シートを挟む方法では、実験で確認された水の通りにくさに差がありました。
炭酸カルシウムで固める方法との違い
微生物誘導炭酸カルシウム析出(MICP)は、細菌の働きで炭酸カルシウムを作り、土粒子を結びつける方法です。 土の強度や剛性を高める用途の研究があり、透水性を下げる「目詰まり」と粒子同士を結びつける「固結」の両方が検討されています。 一方、用途によっては費用や環境面の利点がまだ確立していないとする評価もあります。
今回のセルロースの実験では、砂の中で細菌を育てる処理が水の損失を減らし、シートを挟む処理が透水性を大きく下げました。 MICPについてのレビューでは、土の重量に対して2〜10%の炭酸カルシウムで風や水による侵食を抑えた研究がまとめられています。 同レビューは、MICPが圧縮強度を大きく高める一方、透水性への影響は小さい傾向を報告しています。
砂漠砂を対象にした別のMICP研究では、尿素を分解する Bacillus 属細菌が炭酸塩鉱物を作り、砂粒を固めました。 処理した砂は、風速毎秒33メートルの風に対する侵食耐性を示し、凍結融解を12日間受けた後もその耐性が保たれました。 圧縮強度は細菌の密度やカルシウムイオン、尿素の濃度に左右され、同研究は性能と費用を考慮した条件を示しています。
実験室から砂漠の土壌へ広げる課題
セルロースによる補強では、細菌の成長に水と栄養分、酸素が必要でした。砂柱の中で成長は均一ではなく、上部は下部より大幅に弱くなりました。
この実験では作物の生育や、処理した砂が砂漠環境でどれほど長く持続するかは調べていません。風による侵食を抑える可能性は示されましたが、砂じんの発生量は測定対象ではありませんでした。
MICPのレビューでも、室内試験と実規模に近い試験の設計や結果にばらつきがあり、技術を大規模化する際の標準化が課題とされています。 セルロースの方法は、砂の中で繊維を育てる処理とシートを挟む処理の双方で水の流れを変えましたが、今回示されたのは管理された実験条件での結果です。











