NH90 at Paris Air Show 2019 (6)
写真: Ibex73 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

各国の特殊作戦用ヘリコプター部隊は、米陸軍の190機からポーランドの16機まで規模に差があります。比較の対象は、通常部隊の機体を必要に応じて転用する場合ではなく、特殊作戦を主な任務とする専用機や部隊です。

米陸軍は3種類の機体を計190機運用

米陸軍の第160特殊作戦航空連隊は、重輸送型のMH-47Gが69機、中型のMH-60Mが71機、小型のA/MH-6系列が計50機で、合計190機とされています。内訳はMH-47Gが69機、MH-60Mが71機、A/MH-6Mが28機、A/MH-6Rが22機です。

重輸送、中型輸送・強襲、小型機という異なる役割を、同じ専用部隊の中にそろえています。欧州各国の部隊と比べても機数は多く、フランスの約40機という推定値や、ドイツの25機という構成を上回ります。

MH-60系列の特殊作戦型では、夜間や低空での飛行を支える改修が紹介されています。具体的には、暗視装置に対応した操縦席や航法装置、空中給油プローブが挙げられています。FLIR(前方監視赤外線装置)や地形追随・回避レーダーは、低空飛行や視界の悪い環境での運用を支援します。デジタル地図や通信機能を含むアビオニクスも、乗員の運用を支える装備として説明されています。

欧州では専用部隊の規模と機種構成に違い

ポーランドは、特殊作戦航空部隊PJOSがMi-17を8機、GROMの航空チームがS-70iブラックホークを8機運用し、専用の航空部隊に割り当てられた機体は計16機です。Mi-17は輸送向け、S-70iは特殊部隊向けの機体として構成されています。

ドイツでは、特殊作戦部隊向けのH145M LUH SOFが15機調達され、さらに空軍の特殊部隊向けにH145M LKHが10機割り当てられています。すべてがそろえば、特殊作戦向けのH145Mは計25機となり、機種はH145Mに統一されます。Airbusは、ドイツが追加発注したH145M LKHのうち10機を空軍の特殊部隊が受け取ると説明しています。

フランスの第4特殊作戦ヘリコプター連隊は、約40機を保有するとの推定があり、カラカル、クーガー、ガゼル、ティーガーで構成されます。フランスは同連隊向けにNH90カイマン標準2を18機発注し、カラカルとクーガーを置き換える計画です。DGA(フランス軍需総局)によると、納入は2026年夏から2029年春までの予定です。

NH90の改修は潜入・回収などの任務に対応

NH90標準2は、特殊部隊の潜入と撤収、火力支援、戦術通信を担う仕様です。標準1との違いとして、赤外線カメラとレーザー指示・照準装置、新しい武装、統合作戦や連合任務に用いる無線通信キットが挙げられています。

DGAは18機をNHIndustriesに発注し、ポーの第4特殊作戦ヘリコプター連隊へ配備するとしています。機体の組み立てはマリニャーヌで始まります。

英国とイタリアは機数より部隊構成が手がかり

英国は合同特殊部隊航空団(JSFAW)の一括した機数を公表していません。編成では、RAF第7飛行隊のチヌークが重輸送を担い、陸軍航空隊第658飛行隊が国内の対テロ任務で22 SASを支援します。

英国の軽ヘリコプター戦力は、リンクスとガゼルの退役後、ワイルドキャットや第658飛行隊のドーファンなどが専門的な支援を担っています。2026年7月にはRAF第27飛行隊がNATOの特殊作戦航空任務部隊として即応態勢に入りました。

イタリア陸軍の第3特殊作戦ヘリコプター連隊「アルデバラン」は、2014年に編成され、CH-47F、HH412A、UH90 TTHの3系列を運用します。NATOの特殊作戦航空任務部隊としての資格も持ち、重輸送機から中型機までをそろえています。