X-Bow Systems
出典: xbowsystems.com

米陸軍の低価格コンテナ化弾薬(LCCM)計画で、X-Bow Systemsが巡航ミサイル用ブースターモーターの開発・製造を担います。設計と試験を経て、2027年に本格量産へ移る予定です。固体ロケットモーターの積層造形は、複雑な形状を作りやすく、試作品を短期間で作れる可能性がある一方、材料や品質の確認も課題です。

X-BowがLCCM用モーターを開発

X-Bow Systemsは固体ロケットモーター(SRM)のメーカーで、LeidosからLCCM用ブースターモーターの開発・製造先に選ばれました。LCCMは米陸軍の低価格巡航ミサイル計画で、Leidosが弾薬を大量生産します。

契約後は設計、認定試験、静止燃焼試験を進め、その後、2027年にモーターの本格量産へ移る予定です。静止燃焼試験は、モーターを固定して燃焼させる試験です。

X-Bowは2016年設立で、今回の選定は2026年に選ばれた推進系プログラム6件の一つです。同社は先行する大規模な生産契約で、実戦用ロケットモーター2,100基超を納入しています。

積層造形が設計に与える選択肢

固体ロケットは、燃料と酸化剤を含む固体推進薬を燃焼させて推力を得ます。点火後に推力を調整できないため、推進薬の中心部に設ける空洞の形状が燃焼面積を左右し、推力の時間変化にも関わります。

従来の鋳造では、推進薬を型に入れて固め、中心部を加工して燃焼形状を作ります。形状を変えるたびに型や加工用の道具が必要になり、設計を試す速度や形状の選択肢が限られます。

積層造形では、設計データに沿って材料を層ごとに積み上げ、複雑な内部形状を作れます。コロラド大学ボルダー校の研究では、燃焼形状を変えることで燃焼面積と推力特性を調整できるとされており、造形は異なる形状を試す手段になります。

研究試作が示した製造上の課題

コロラド大学ボルダー校の研究チームは、粉末材料をレーザーで焼結する選択的レーザー焼結(SLS)方式で、円筒形の固体ロケットモーターを試作しました。SLSは粉末の一部を層ごとに固めて立体形状を作る方法です。

同研究では、従来の鋳造品と積層造形品の機械的特性を比較する計画でしたが、試験時点では引張・圧縮試験が完了していませんでした。試作した推進薬は鋳造品より密度が低く、均質性に乏しく、もろい状態だったと報告されています。

別の固体燃料研究では、材料の配合や燃焼形状の調整が燃焼速度や推力特性に影響する可能性が示されています。一方、材料の混合や造形工程には安全管理が伴います。研究チームは、造形中の温度・圧力の監視や遠隔操作などを設計に組み込みました。

量産に向けた設計・認定試験

X-Bowは、積層造形を活用して新しい設計を数日で試作できると説明しています。同社によると、従来の防衛関連の試作には数カ月から数年かかり、複数案を試せる速さが同社の製造方式の特徴です。

試作を短期間で行えることと、同じ品質のモーターを量産できることは別の工程です。今回の計画では、設計に続いて認定試験と静止燃焼試験を行い、量産へ進む段階が設けられています。

米国防総省の「Arsenal of Freedom」構想は、国内の防衛産業基盤を再構築する取り組みです。