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出典: rsna.org

骨密度が低い人ほど認知機能の低下が速い傾向

ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは、脊椎の骨密度が低い人ほど認知機能の低下が速く、脳の白質にも加齢に伴う変化が見られる傾向を報告しました。胸部CTから推定した骨密度と、脳MRIおよび認知機能検査の結果を数年にわたって調べた研究です。骨密度と脳の変化には関連が見られましたが、骨密度の低下が認知機能低下を引き起こすとは結論づけていません。

対象は、米国の長期研究「多民族動脈硬化研究(MESA)」に参加した715人です。胸部CTで脊椎の骨密度を推定し、脳MRIと認知機能検査の結果を追跡しました。研究チームは、骨密度が低いほど全般的な認知機能の低下が速いという関連を確認しました。

脳MRIでは、脳梁の白質高信号の増加と、内包前脚のfractional anisotropy(FA)の低下が、骨密度の低さと関連していました。白質高信号はMRIで明るく映る領域で、FAは水分子の拡散がどれほど特定の方向にそろっているかを表す指標です。研究チームによると、これらの領域は実行機能や作業記憶、注意に関わります。

胸部CTの画像から脊椎の骨密度を推定

研究チームは、ジョンズ・ホプキンス大学の研究室で開発した深層学習アルゴリズムを使い、胸部CTから胸椎の体積骨密度を算出しました。骨密度を算出できたMESA参加者は最初に2,086人で、そのうち脳MRIと認知機能検査の両方を受けた715人が最終的な研究対象になりました。白質高信号の経時変化は408人、FAの経時変化は405人について分析しました。

胸部CTは肺がん検診や冠動脈のカルシウム評価などにも使われます。ジョンズ・ホプキンス大学の研究者サラ・モムタズマネシュ氏は、こうした画像から胸椎の骨密度を測定できる可能性を挙げています。今回の研究では、既存のCT画像を骨密度の推定に利用し、その値を脳画像や認知機能の経時変化と照合しました。

今回の研究では、CTから得た骨密度の値を標準的なDXA検査と直接比較していません。別の研究では、AIによるCT画像の骨密度推定を定量的CT(QCT)と比較し、骨粗鬆症の判定でAUC 0.822、正確度0.9456を報告しています。この数値は別の研究での判定性能であり、今回の胸部CTによる測定値がDXAと同等の精度を持つことを示すものではありません。

CTとDXAでは測定対象や条件が異なる

2017年の別研究では、腰痛手術を受けた47人を対象に、腰椎CTの値とDXAによる骨密度の関係を調べました。椎弓根のCT値は大腿骨頸部の骨密度と関連し、計測者間の相関係数は0.95を超えていました。一方、この研究では腰椎のミエロCTを使っており、今回の研究で使った胸部CTとは撮影部位や対象者が異なります。

同研究では、椎体CT値とDXAの相関係数も0.97以上でした。ただし、報告されたのは特定の手術患者における腰椎CT値とDXAの関連であり、胸部CTから推定した脊椎の体積骨密度との直接比較ではありません。また、別のAI研究が比較対象にしたのはDXAではなくQCTで、複数メーカーのCT装置を使った腰椎骨密度の測定でした。

CT画像から骨密度を推定する手法と、DXAで骨密度を測る手法は、同じ検査を別の装置で行うものではありません。研究ごとに撮影部位、画像処理、比較対象、参加者が異なるため、ある研究の相関や判定性能を今回の胸部CT研究にそのまま当てはめることはできません。

共通の加齢要因と因果関係は今後の課題

研究チームは、骨密度の低さが脳の変化を直接引き起こしたとは解釈していません。インスリン抵抗性、脂質異常、閉経に伴う変化など、骨と脳の双方に関わる加齢要因が、観察された併存に関係する可能性を挙げています。これらは研究者が示した可能性であり、今回の分析で原因として特定されたものではありません。

白質の指標については、別の研究が英国バイオバンクの3,513人を分析し、44.64~77.12歳の参加者では、年齢が高いほど多くの白質経路でFAが低い傾向を報告しています。同研究では、年齢との関連が特に強い拡散指標は平均拡散係数(MD)でした。この結果は、FAが加齢に伴う白質の微細構造の変化を捉える指標の一つであることを示しますが、今回の骨密度との関連を説明するものではありません。

今回の研究は複数年の追跡を含みますが、研究チームは、観察された脳の変化が認知症などの診断につながるかを調べるには、より長期の研究が必要だとしています。研究者は、骨密度の測定値を認知機能低下のリスクを把握する手掛かりにできる可能性も示し、予測に使うにはさらにデータを集めて分析する必要があると述べています。