
クラマトルスクのバス攻撃で少なくとも30人死亡
ウクライナ東部ドネツク州のクラマトルスクで、ロシア軍の滑空爆弾が民間人を乗せたバス2台を攻撃し、少なくとも30人が死亡しました。ドネツク州当局によると、負傷者は18人です。近隣の村ビレンケでも3人が死亡しており、当局は民間人の犠牲が相次ぐなか、東部の公共交通を停止しました。
ドネツク州のフィラシュキン州知事は、乗客を運ぶバスが攻撃され、できるだけ多くの民間人を殺害しようとしたとして、ロシアを非難しました。ロシア政府は、この攻撃についてコメントしていません。
ウクライナのゼレンスキー大統領は「この攻撃に応じずにはいない」と述べ、支援国に新たな防衛支援を求めました。攻撃現場では、地元検察当局が炎上したバスや道路上の破片を撮影した画像を公開しました。
東部の公共交通停止と住民への影響
フィラシュキン州知事は、クラマトルスクと隣接するスロビャンスクの治安が急速に悪化しているとして、地域の公共交通をすべて停止するよう命じました。乗客と運転手の命を危険にさらすことはできないと説明し、前線地域に残る住民には、より安全な地域への移動を呼びかけています。
今回の攻撃に先立ち、ロシア軍はキーウを含む各地で攻撃を強めていました。国連によると、ウクライナでは2026年8月までに殺害された民間人の数が、2025年の年間総数を上回りました。
攻撃が続き、学校は地下施設への避難を余儀なくされ、事業や公共交通にも影響が出ています。首都キーウでは電力網への攻撃に伴う停電で水道の水圧が下がり、地下鉄も一時、外部電源の電圧低下を受けて全線の運行を止めました。
滑空爆弾は翼と誘導装置で飛距離を伸ばす
滑空爆弾は、航空機から投下した爆弾に翼や誘導装置を加え、目標へ向けて滑空させる兵器です。CNNによると、FAB-1500は誘導システムと展開する翼を使い、戦闘機から約60〜70キロ離れた位置で投下されます。

UMPKはロシア語の略称で、航空爆弾に取り付ける滑空・誘導キットです。JSFは、ウクライナ側が回収したUMPK-1500の残骸から、1.5トン爆弾向けのキットにV字型の尾翼が備わり、尾翼が動く構造を確認したと解説しています。
JSFによると、UMPK-1500には主翼の補助翼もあり、通常型UMPKのように尾翼だけを動かす構成とは異なります。爆弾は投下後に機体を横転させて姿勢を戻し、主翼を開いて滑空に移るとJSFは説明しています。ただし、UMPK-1500の飛行手順は構造からの推定であり、通常型で確認された手順とは区別されています。
要塞ベルトに近づく攻撃と前線の都市
クラマトルスクとスロビャンスクは、ロシアが掌握を目指すドンバス地方にある都市です。BBCは両市を「要塞ベルト」の一部と位置づけ、ロシアがドンバス全域の掌握を目指すなかで攻撃が続いていると伝えています。
村山祐介は現地ルポで、スロビャンスクからクラマトルスク、コンスタンチノフカへ連なる地域を要塞ベルトと呼び、ウクライナ軍が2014年に紛争が始まって以降、10年以上かけて塹壕などを築いてきたと記しています。

村山祐介によると、ロシア軍がドネツク州の大部分を占拠するなか、この地域はウクライナ軍にとって東部戦線の防衛拠点となってきました。中国語百科事典の日本語項目によると、スラヴャンスクやクラマトルスクなどの高層建築物と工業地域が防衛線の拠点を構成しています。
住宅攻撃でも多数の民間人が死亡
クラマトルスクへの攻撃の前日には、キーウ東方のプルルキウで5階建て住宅が破壊され、子ども5人を含む22人が死亡しました。死亡した子どものうち3人は1歳でした。
ゼレンスキー大統領と現地を訪れた英国のミリバンド外相は、ロシアへの追加制裁を表明しました。対象として、ロシアの軍事関連産業、いわゆる「影の船団」、石油会社、暗号資産、戦費の調達を挙げています。
ゼレンスキー大統領は、ウクライナの防衛に向け、支援国に新たな防衛パッケージによる具体的な行動を求めました。BBCによると、迎撃ミサイルは世界的に不足しており、ウクライナが飛来するロシアの弾道ミサイルを止める手段にも制約があります。









