
クリント・イーストウッド主演の西部劇『夕陽のガンマン』(原題:For a Few Dollars More)が、YouTubeで無料配信されています。セルジオ・レオーネ監督による「ドル箱三部作」の第2作で、同じ犯罪者を追う2人の賞金稼ぎが手を組む物語です。動画配信サービスのRokuとKanopyでも無料で配信されています。
同じ賞金首を追う2人が協力する物語
イーストウッドが演じるモンコは、犯罪者を捕らえたり倒したりして報酬を得る賞金稼ぎです。追っているのは、ジャン・マリア・ヴォロンテが演じる銀行強盗のエル・インディオ。仲間の手で脱獄した人物です。同じ標的を狙うもう1人の賞金稼ぎが、リー・ヴァン・クリーフ演じるダグラス・モーティマー大佐です。
モンコは直感的に行動する一方、モーティマーは冷静で緻密に動きます。当初は互いに警戒する2人ですが、インディオを倒して賞金を分けるために協力することに。その後、インディオ一味による銀行強盗で奪われた金も、2人の行動に関わってきます。
2人の関係について、Polygonは、相手を値踏みする段階から、それぞれの強みを認める関係へ変化していく点を評価しています。モーティマーがインディオを追う動機には、賞金だけではない個人的な事情もあります。金銭を求めるモンコと、別の目的を抱えるモーティマーの協力が、犯罪者の追跡と並行して描かれます。
インディオは、女性の肖像が入った懐中時計を持ち歩き、その時計が奏でる旋律を決闘の合図に使います。Polygonは、彼の暴力性に加えて過去にまつわる苦悩を描いたことが、行動の予測しにくさにつながっていると評価しています。
製作費は60万ドル、興行収入は2,500万ドル
『夕陽のガンマン』は、前作『荒野の用心棒』の成功を受けて製作されました。製作費は前作の約20万ドルから60万ドルへ増え、興行収入も約2,000万ドルから2,500万ドルへ伸びています。
前作が主に荒野と小さな町サン・ミゲルを舞台にしていたのに対し、『夕陽のガンマン』では、より大きな町エルパソが登場します。撮影の多くはスペインで行われ、映画のために造られた町のセットは、現在も観光施設として残っています。Polygonが前作との規模の違いとして挙げているのは、町に登場する人々やアクションの増加です。
マカロニ・ウエスタンの主人公と演出
『夕陽のガンマン』が属するマカロニ・ウエスタンは、1960年代前半からイタリアの映画製作者が主にスペインの荒野で撮影した西部劇を指す、日本での呼び名です。英語圏では「スパゲッティ・ウエスタン」などと呼ばれます。
レオーネの前作『荒野の用心棒』では、主人公が町の対立する2つの勢力を利用して金を得ようとします。『夕陽のガンマン』のモンコも報酬を求めて動く人物で、善良な英雄として一方的に描かれる主人公とは異なります。SCREEN ONLINEがこのジャンルの特徴として挙げているのは、勧善懲悪に収まらない物語と、暴力を交えた演出です。
レオーネの演出には、人物の顔を大きく映すクローズアップと、周囲の空間を広く捉える引きの画面を使う特徴があります。音楽を担った作曲家エンニオ・モリコーネは、『夕陽のガンマン』で口笛から男声合唱へ展開する楽曲を用いています。
「ドル箱三部作」は連続した物語ではない
「ドル箱三部作」は、『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』の3作品を指します。いずれもレオーネが監督し、イーストウッドが主演していますが、連続した筋書きよりも、主題によって結び付いた作品群です。
イーストウッドが演じる主人公たちの総称である「名もなき男」は、米国の配給会社ユナイテッド・アーティスツが、3作品を三部作として売り出すために考案しました。実際には、それぞれの作品でジョー、モンコ、ブロンディという呼び名があります。また、モーティマー役のヴァン・クリーフは『続・夕陽のガンマン』にも出演していますが、演じるのは別の人物です。








