a person holding a tiny mushroom in their hand
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シロシビンはマウスの脳で新しい神経接続を増やし、成熟を促す一方、既存の接続の一部を取り除きました。慢性的なストレスを受けたマウスでは、新たな接続の形成が強まり、接続の過剰な減少も抑えられました。神経回路の変化と幻覚に関連する行動反応は、別の仕組みで起きる可能性も示されています。

24時間以内に新しい神経接続が増加

カリフォルニア大学サンタクルーズ校の研究チームは、二光子顕微鏡を使い、生きたマウスの脳内にある神経細胞の変化を数週間にわたって観察しました。調べたのは、神経細胞から伸び、隣の細胞から信号を受け取る樹状突起スパインです。スパインは、神経細胞同士が情報を伝えるシナプスの形成に関わります。

シロシビンを投与してから24時間以内に、新たな樹状突起スパインの形成が増えました。新しいスパインの成熟も進み、未成熟で不安定な形にとどまるものより、成熟した形に育つものの割合が高くなりました。

研究では、新たな接続の形成だけでなく、既存の接続の一部が取り除かれる変化も観察されました。健康なマウスでは、投与後に増えた接続の数が3週間かけて投与前の水準に近づきました。脳内の接続は一方向に増え続けるのではなく、形成と除去の両方を通じて組み替わりました。

慢性ストレスを受けた脳では異なる変化

研究チームは、予測できない軽度のストレスを繰り返し与えたマウスでも調べました。このモデルでは、慢性的なストレスによって神経接続が失われる傾向が見られます。人のうつ病を対象とした実験ではなく、ストレスによる脳の変化を調べるためのマウス実験です。

ストレスを受けたマウスにシロシビンを投与すると、新たなスパインの形成が強く増えました。同時に、慢性ストレスに伴う既存の接続の過剰な減少も抑えられました。健康なマウスとは異なり、ストレス下では接続の形成と維持の両方に変化が現れました。

研究チームは、シロシビンの作用が脳の状態によって異なると説明しています。このマウス実験は、ストレスを受けた脳回路の変化を調べる手がかりになります。うつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療への応用は、今後の研究課題です。

神経回路の変化と行動反応は別経路

研究チームは、シロシビンの作用に関わるセロトニン2A受容体に着目しました。受容体は細胞表面にあり、化学信号を受け取るタンパク質です。大脳皮質にある第5層錐体ニューロンはこの受容体を多く持ち、脳の別の領域へ情報を送ります。

遺伝子改変マウスを使い、この神経細胞に受容体を戻すと、シロシビンはシナプスの形成と安定化を促しました。一方、げっ歯類で幻覚作用の指標として使われる頭部のけいれん反応は見られませんでした。

反対に、第5層錐体ニューロンから受容体を取り除くと、シロシビンによるシナプスの成長は起きませんでしたが、頭部のけいれん反応は残りました。この結果は、少なくともマウスでは、神経回路の構造変化に必要な受容体の働きと、行動反応に関わる仕組みを分けられる可能性を示しています。

人のうつ病を対象とした試験は6週間

人を対象とした別の第2相試験では、長期間続く中等度から重度のうつ病の患者59人をシロシビン群30人とエスシタロプラム群29人に分け、6週間比較しました。両群とも心理的支援を受け、主要評価項目は6週目のうつ症状スコアの変化でした。

6週目のスコアは、シロシビン群で平均8.0点減、エスシタロプラム群で6.0点減となり、群間差は2.0点でした。信頼区間はマイナス5.0〜0.9点、P値は0.17で、主要評価項目では有意な差が示されませんでした。

症状スコアが半分を超えて改善した患者はシロシビン群で70%、エスシタロプラム群で48%でした。寛解に達した患者はそれぞれ57%と28%でした。これらは副次評価項目で、複数比較の補正は行われていません。試験では、既存の抗うつ薬との比較には、より大規模で長期間の試験が必要と結論づけています。評価期間は6週間で、人の患者を対象に、マウスで観察された脳の構造変化やその持続期間を確かめた試験ではありません。